震災後に自家発電の導入を考えた企業は38.5%:東電/東北電力管内の大企業で高い意欲
2011年7月12日 15:29
矢野経済研究所が12日発表した「東日本大震災後の節電/停電対策に関する調査結果2011」によると、自家発電装置を設置していなかった企業のうち38.5%が、震災後に導入を前向きを検討するようになった。特に東京電力・東北電力管内の大手企業で導入意欲が高い傾向が見られたという。
今回の調査では、震災前には基幹システムの電源対策として自家発電装置を設置していなかった企業457件に対し、震災後に導入意欲に変化があったかどうかを質問した。調査時期は2011年5月で、WEBアンケート方式で調査を実施した。
■4割弱の企業が導入に前向き
回答は、「ぜひ導入したい」が7.4%、「できれば導入したい」が31.1%となり、合わせて38.5%の企業が自家発電装置の導入を前向きに検討している結果となった。
■規模別では大企業がより導入に積極的
企業規模別では、導入したいという回答は、従業員数1,000人~2,999人の企業で61.2%、3,000人以上の企業で66.7%と過半数を超え、規模が大きくなるほど導入意欲が高まる傾向が見られた。1,000人~2,999人の企業では5.6%、3,000人以上の企業では6.7%が震災以降、既に導入したと回答している。
一方、100人未満の企業では、「あまり導入したいと思わない」が22.9%、「導入しない、不要である」が37.4%で合わせて60.3%と、導入に消極的な意見が過半数を占めている。100~299人の企業でも消極的な意見が55%と過半数を超えており、設置コストが数千万円になる場合もあるなど、高額であることが要因と考えられる。
■地域別では、東京/東北電力管内で高い導入意欲
地域別では、東京電力・東北電力の管内に基幹システムを設置している企業で導入したいという回答が47.3%、それ以外の地域で31.0%と、震災後に需給の逼迫が見られた両地域で導入意欲が高かった。
■より一般的な取り組みでは、PCのスリープ、電力モードなど
中小企業を含めたより一般的な取り組みとしては、PCのスリープ(休止)の活用、省電力モードの実施、省電力タイプの機器の導入など、少ない予算で実施できる対策を行う、という回答が多かった。「節電には取組まざるを得ないが、あまりコストを掛けられないというのが多くの企業の実態」と同社は分析している。
■IT投資を増やしたいテーマはクラウドが1位
また、震災後にIT投資を増やしたいテーマとして、最も回答率が高かったのはクラウドコンピューティングで、22.2%だった。同社によると、震災以前には、クラウドを利用する目的はコスト削減という企業が多かったが、震災後には災害時の安全性確保という側面から利用意向が高まったという。
クラウド以外では、社員安全管理(安否確認等)が16・8%、BCP(事業継続計画)が15.5%、計画停電対策が15.3%となるなど、いずれも災害時の対応を意識した項目が上位に並んだ。
震災後にIT投資を増やしたいテーマは、売上高1億円以上のユーザ企業600件が対象。5月にWEBアンケート方式で調査を実施した。