1-3月期のタブレット端末市場、前期比28%減:高成長にかげりか=IDC

2011年7月11日 17:59

 米調査会社IDCが8日に発表した調査結果によると、1-3月期のメディアタブレットの出荷台数は前期比28%減の720万台だった。同社によると、メディアタブレット市場への需要が期待されているほど堅調ではないことが示唆されるという。好調のアップルの「iPad」も事前予想は下回った。

■季節要因で、10-12月期を下回る
 同社によると、1-3月期の落ち込みは、一般的にはより成熟した家電製品に見られる季節的な要因が大きく影響した。このことから、メディアで喧伝されているほどには、メディアタブレット市場への需要が堅調ではない可能性もあることが示唆されるという。

■ベンダー別ではアップル「iPad」が引き続き首位
 アップルの「iPad」と「iPad 2」は、引き続きメディアタブレット市場で支配的な地位を保ち、他ベンダーには苦しい時期となった。アップルの出荷台数も事前予想は下回った。液晶のサプライチェーンの一部断絶やiPad 2が発売の数週間前に公開されたことが、出荷台数に大きな影響を与えたという。

 サムスン電子やモトローラなど、携帯電話キャリアを通じて製品を供給しているメーカーは、ある程度の成功を見たが、通常キャリアがタブレット端末の契約時に要求する3G/4Gのデータ通信契約が嫌われたことが足かせとなった。

■Androidは着実に増加
 OSでは、アンドロイド(Android)が総計34%増加し、シェアは10-12月期から8.2ポイント増加した。

■4-6月期以降は改善の見通し
 IDCのBob O'Donnell氏は声明で「PC市場のように、メディアタブレット市場も、一般的なマクロ経済の問題への懸念からやや厳しい時期となった」「今年の残りの時期は、より堅調になると予想しているが、携帯キャリアを通じた供給に今後も集中するメーカーは深刻な課題に直面すると考えている」と述べている。

 IDCは、2011年通年での予想出荷台数は前回予想の5,040万台から5,350万台に引き上げた。

■電子書籍リーダー市場では、Nookが初めて首位に
 電子書籍リーダー市場も、タブレット端末と同様の季節的要因で前期からは減少して330万台となった。一方、バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)の「カラー・ヌーク」(Color Nook)などのカラー対応デバイスの登場が貢献し、前年同期比では増加した。

 ベンダー別では、カラー・ヌークの効果でバーンズ・アンド・ノーブルが初めて首位となり、アマゾンの「キンドル」(Kindle)は2位に後退した。IDCは、カラー対応機が無いことが明らかな影響を与えたと分析している。

 2011年の通年では、出荷台数が前年比24%増の1,620万台になると予想している。

 IDCの定義では、「メディアタブレット」は、タブレット形状で5インチ~14インチのカラーディスプレイ、アップルの「iOS」やグーグルの「アンドロイド(Android)」などの“軽量”OSを搭載したデバイス。PC向けOSを搭載した「タブレットPC」と区別している。

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