銀行が頭を下げても貸したい会社、高い金利でも貸したくない会社:第5回 会社を成長させるための事業計画の書き方(その2)

2011年7月11日 12:36

~初回の打合せまでの準備が大切です~

■まずは「事業計画の作成目的」をホワイトボードに書き出します
 事業計画作成が経営者自身の考えの整理であれば、ご自身のノートやパソコンに事業計画作成の目的を書き出すだけで十分ですが、役員をはじめとする社内の誰かと一緒に事業計画を作成するとすれば、事業計画作成の目的をホワイトボードに書き出しましょう。

例えば
「事業計画作成の目的:
 (1)メイン金融機関○○銀行へ事業計画を提出することで、当社への理解を深め、資金調達面での良好な関係を維持する
 (2)および、折角の機会なので事業計画作成を通じて幹部社員の育成を図る」
といったことを書き出します。

 会社の規模や事業計画書の分量(何ページ書くか)にもよりますが、一(いち)からしっかりとした事業計画を作成しようとした場合、完成まで短くても1ヶ月、長ければ3ヶ月以上かかりますので、その間、作成に関係するメンバーが単に「自分が担当となったページだけを作成すればよい」という意識になり、そもそも何のために事業計画を作成するのかが曖昧になってしまいがちなため、事業計画作成の目的を書き出すことが大切なのです。

■次に、完成目標期日を明確にします
 おそらく経営者の方は社員さんに「だらだらと仕事をしないように、仕事の期限(納期)を先に決めてから、仕事にかかるように」と指導しておられると思います。

 事業計画作成も同じことです。しっかりと完成目標期日を決めてから着手します。

 タイミングとしては今期の業績がある程度見えてきて、来期の取り組みを明確にするために決算前後に事業計画を作成することが比較的多くあります。金融機関が企業に事業計画を求めるのも、決算前後が基本です。

 経営者も含め日常業務がどうしても最優先になってしまいますので、事業計画作成は遅れがちです。したがって完成目標期日を決める際、「○月中」といった漠然とした日程だと、さらに完成が遅れてしまいますので、「○月○日」と明確に決めることが大切です。

 そして金融機関に予め「○月○日に事業計画が完成予定ですので、完成し次第直ぐにお持ちします」とお伝えしておくことで、その日が必達目標となります。また、社員の皆さんに対しては「○月△日(完成予定日の翌日など)○時から事業計画説明会を大会議室で行いますので、各自予定に入れておいて下さい」と早めに通知しておくことで、経営者をはじめとして、事業計画作成に対するコミットメント(必達意識)を高めます。

 完成目標期日を決めた後、
□ 業界動向および競合他社、仕入れ先、提携先等の分析は十分か
□ 自部門の客観的な分析はできているか(収益性、人材、商品力など)
□ A部門とB部門との今後の連携についての協議はできているか
□ 売上増およびコストダウンの計画の精度
□ 部門別や商品群別といった個別の損益目標と全社損益目標との整合確認
□ 現状を是とせず、将来を見据え経営的な視点で物事を考えているか
□ 単なる数値目標でなく、具体的な行動計画への展開ができているか
□ 損益計算書だけでなく、貸借対照表およびキャッシュフロー計算書の視点での財務体質改善の視点はあるか
といったとチェック項目とチェック日を予め明確にします。

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