電子コミック対応の画像処理ソフトウエア技術を富士フイルムが新開発

2011年7月11日 11:00

 富士フイルムは独自の画像処理技術を用い、電子書籍市場で急拡大している電子コミックの制作・配信工程を効率化するソフトウエアの新技術「GT-Scan」「GT-Quality」「GT-Balloon」を開発した。

 電子コミックの制作工程では、携帯電話やスマートフォン、タブレットPCなど各種の端末で閲覧しやすいようにコミックの各ページからコマを分割し、ひとコマずつ読む順番を付与する必要があるという。この工程は手作業で行われており、業務効率化が求められている。また、電子コミックを配信する際は、画面サイズの異なるすべての端末に画像を最適化することが困難なため、特定端末の画面表示に適した画像を用いることが一般的。このため、端末の種類によっては配信時の画質が低下し、閲覧時に最適な画像が得られないという問題が指摘されているという。

 こうした課題を解決するため、富士フイルムは3つの新技術を開発した。1つ目の「GT-Scan」は、コミックのページ全体を分析してコマ割を高精度に自動検出し、ひとコマごとに分割して読む順番を自動設定できる技術。手作業で行われている工程の自動化により、作業時間を従来の1/2以下に短縮が可能だ。また2つ目の「GT-Quality」は、配信を受ける各種モバイル端末の機種を自動判別し、文字のにじみ・画像モアレなどを抑えた最適な画像配信を可能にする技術。配信する際、端末の種類・画面サイズごとにデータを準備する作業が不要となるという。3つ目の「GT-Balloon」はコミックの翻訳作業時に必要となる「吹き出し」部分の抽出および塗りつぶす作業を自動化する技術。処理工程の短縮により、コミックの翻訳作業を大幅に効率化する。

 今回開発した新技術により、電子コミックの制作コスト低減と、各端末に最適な高いクオリティでの配信の両立を可能にするとともに、翻訳作業の効率化も実現。なお、「GT-Scan」を搭載したソフトウエアを本年7月下旬より、「GT-Quality」「GT-Balloon」を搭載したソフトウエアを今秋より発売する予定だという。

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