ソフトバンク、関西で通信障害を発生させた容疑で業務委託先元社員を逮捕 

2011年7月8日 18:45

 ソフトバンクモバイルは8日、今年5月25日に発生した関西地域(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県)における通信障害について、同日、同社の業務委託先の元社員が、監視および制御を行うサーバーを経由して基地局とネットワークセンターを結ぶためのATM伝送装置の回線設定データを改ざんし、約7万2700人の利用者に通信障害を発生させた容疑で逮捕されたと発表した。

 業務委託先の元社員が従事していたのは、同社の関西ネットワークセンター(大阪市西区)での基地局とネットワークセンターを結ぶ伝送装置のデータ設定業務。この業務委託先元社員は、その業務に使用していた制御用端末に不正プログラムを入力し、ATM伝送装置の回線設定データを改ざん。携帯電話用の基地局を停波させた疑いがあるという。なお、同業務委託先の元社員は、2011年3月15日に、体調不良を理由に業務委託先を退職している。

 当該障害は、事故発生時間の直前に、同社ネットワークセンターに設置されているATM伝送装置を監視制御するサーバーを操作する制御用端末から、各ATM伝送装置に対して設定情報を改ざんするデータが送信されていることが原因だった。

 同プログラムが入力されたのは2011年3月8日から3月9日で、5月25日にプログラムが作動するよう設定されていた。通信障害は、関西地域(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県)において、5月25日午前3時58分に発生、5月26日午前10時15分に復旧した。

 作業員の入館においては、センターの入口で監視員が一人ひとり本人確認を実施している。制御用端末が設置されているオペレーションルームには、セキュリティカードを所持したものでなければ入室することができず、また、外部から不正にアクセスされた形跡はないという。

 事件について同社は、「本件については、外部からの不正アクセスの痕跡もなく、人為的事故の可能性があると思われたことから、障害発生の翌日5月26日に大阪府警に相談し、6月6日に被害届を提出している。捜査協力の観点から公表を差し控えていたが、被疑者の逮捕を受け、当該事案の概要を報告する」とコメントしている。

 今回の事件を受け、同社は、再発防止策として、「オペレーションルームや重要な通信設備が設置してあるスペースにおいて、入室者の監視および操作端末の操作者を視認できるよう、監視カメラの設置台数を現在の252台から、1,170台まで増設する」としている。

 また、操作履歴の収集については、これまで監視用端末などで実施してきたが、今回対象端末を拡大し、ネットワークセンターにある保守運用端末の操作履歴についても収集できる対策を施した。これにより、当該端末の操作の追跡が容易になるという。また、「監視していることを周知することで、不正操作を抑止する」としている。

 「当社施設内でこのような事態が発生したことは誠に遺憾であり、当社では本件を厳粛に受け止め、再発防止策を完遂していくことで、信頼回復に努めてまいります」と同社はコメントしている。

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