企業の7割超が今夏に節電実施、クールビズ実施も7割超 帝国データバンク調査
2011年7月6日 00:46
帝国データバンクは5日、夏季の電力使用量削減に対する企業の意識調査を発表した。調査の結果、企業の7割超が「節電を実施」し、削減量は企業の36.3%で政府目標(15%削減)以上であることがわかった。調査期間は2011年6月20日~30日で、調査対象は全国2万2,773社で、有効回答企業数は1万1,032社(回答率48.4%)。
今夏の節電実施状況について尋ねたところ、「実施する(予定・検討を含む)」と回答した企業は1万1,032社中8,020社で、構成比72.7%となった。一方、「実施しない(予定・検討を含む)」は同11.3%(1,245社)だった。
節電の実施による電力使用の削減量の内訳をみると、「15%」が同27.3%(3,011社)で最も多く、4社に1社が政府目標程度を見込んでいる。また、「15%超25%未満」が同6.3%(695社)、日本経済団体連合会による加盟団体・企業への要請と同程度である「25%」が同1.6%(176社)、それを上回る「25%超」が同1.1%(120社)となり、合わせて36.3%(4,002社)の企業が政府目標以上の電力使用削減を考えている様子がうかがえた。
なかでも、政府の要請地域となっている『東北』は同42.7%(241社)、『北関東』は同49.6%(344社)、『南関東』は同58.6%(2,134社)といずれも高い割合を示した。一方、政府目標を下回る「15%未満」は同23.0%(2,533社)で、企業の2割超が節電は実施するものの政府目標の達成は困難と認識していることがわかった。
夏季の電力使用削減量が「15%未満」と回答した企業2,533社にその要因を尋ねたところ、「事業所や店舗のため限界がある」が同55.2%(1,399社。複数回答、以下同)で、過半数を占め最多となった。次いで、「生産設備のため限界がある」(同36.1%、914社)、「(LED・空調などの)省エネ製品に切り替える余裕がない」(同29.8%、756社)が続いた。
業界別にみると、「事業所や店舗のため限界がある」では『小売』(同81.8%、90社)や『不動産』(同80.4%、37社)など、直接顧客が来店することを必要とする店舗型の業態で8割を超えた。また、「生産設備のため限界がある」では『製造』(同80.8%、631社)や『農・林・水産』(同75.0%、6社)が高かった。すでに節電を続けている企業も多いうえ、事業の性質から電力使用量削減に困難さを覚えている様子がうかがえた。
夏季の電力使用削減量が15%以上と回答した企業4,002社に削減方法を尋ねたところ、「節電意識の向上」を挙げた企業が同79.4%(3,177社。複数回答、以下同)と8割近くに達した。次いで、空調設定の見直しやエレベーターの一部停止など「設備の使用を制限する」(同67.2%、2,689社)が約7割と上位2項目が突出して高い。また、「(LED・空調など)省エネ製品への切り替え」(同30.7%、1,229社)は3割を超えた。政府目標の15%以上削減を見込んでいる企業では、社員の意識向上や設備の使用制限などで対応する企業が多いことがわかった。また、電力使用のデマンドコントロール装置の導入や、太陽光や風力発電といった、削減のための設備利用を検討する企業も現れているという。
クールビズの取組状況を尋ねたところ、すでに「開始している」と回答した企業は1万1,032社中7,739社、構成比70.2%と7割超に達した。前年の同時期(2010年6月調査、59.1%)より11.1ポイント増加しており、7年目を迎えたクールビズが電力不足などを背景に一段と拡大していることがうかがえた。クールビズの実施について、現在「検討中」と回答した企業は同12.5%(1,384社)で、すでに「開始している」と回答した企業と合わせると計82.7%(9,123社)となり、初めて8割を超えた。