白川日銀総裁、「サプライ・チェーン寸断の影響について」海外で講演
2011年6月30日 09:33
■「霞ヶ関発・兜町着」直行便
日銀の白川方明総裁は27日、オランダ外国銀行協会年次総会において「我々はテール・リスクにどのように対応すべきか」という演題のもとに講演した。「テール・イベント」とは「経済や社会に非常に大きな影響を与えたこと」を指し、最近ではリーマン・ショックなどがその好例だが、今回日本を襲った「東日本大震災」も、その一つに挙げられ、各国の政策当局者の大きな課題となっている。白川総裁は講演の中で、今回の震災の経済に及ぼす影響を、「サプライ・チェーンの寸断」に着目し、次のように述べた。
(1).大震災による経済活動の落ち込みは、被災地域の経済規模や人口のシェアから推測される以上に大きかった。被災地域はGDPにして6%、人口にして7%のシェアを有する地域だが、生産の落ち込みは16%にも上った。これには、サプライ・チェーンの寸断が大きく影響している。
(2).被災地域には自動車用のマイコンの世界シェア40%の企業をはじめとして、自動車や電気製品の生産に不可欠な部品を生産する企業が多く存在していた。自動車メーカーは高度にカスタマイズされた部品に依存していたため、被災地の工場における生産停止の影響は被災地以外に所在する企業の生産にも大きな影響を与えた。
(3).また、その影響は国内だけに止まらず、日本からの輸入部品に依存する海外企業にも及んだ。そうした複雑なサプライ・チェーンを通じる影響の大きさは、今回の震災が発生するまでは十分には認識されていなかった。
(4).サプライ・チェーン障害が予想以上の影響をもたらしたことには2つの理由がある。ひとつの理由は部品の在庫水準が低かったこと。在庫水準が低いことは、平常時は効率性を高め企業収益の増加に寄与するが、一旦、大きなショックが発生すると、企業は短期間で大幅な生産削減を余儀なくされ、他の企業への連鎖的影響が拡大する。
(5).もうひとつの理由は、「調達における集中のリスク」だ。すなわち、複雑なサプライ・チェーン・ネットワークを辿っていくと、最も川上の段階では特定地域の特定企業の部品に調達が大きく依存していたという事実が判明する。その結果、特定工場の生産停止が、海外を含む多くの企業の生産に深刻な打撃を与えた。サプライ・チェーンは生産の効率性を高めるものだが、同時に、今回の震災の経験は、ショックに対する耐久力を考えた場合の適正な在庫水準や調達における集中リスクの問題について注意を喚起している。
与謝野経済財政担当大臣は大震災発生当初、「岩手、宮城、福島3県のGDPは数%だから日本経済への影響は軽微」と発言していたが、生産の落ち込みは16%にも上り、サプライ・チェーンの影響は世界規模にも及んでいたのである。また、日本が世界に誇る、在庫水準を低く抑えた「カンバン方式」も裏目に出たことが分かった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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