乗り切れるか!『悩ましき夏相場』の始まり=犬丸正寛の相場展望

2011年6月24日 17:49

★相場は『閑散に売りなし』

  来週(27日~7月1日)は、7月相場入り。『悩ましき夏相場』の始まりとなりそうだ。

  世界を眺めれば、いずこも内に悩みを抱えている。アメリカは量的緩和政策で景気は持ち直したものの、失業率の改善、消費の上向きなどは思ったほどではない。むしろ、財政の悪化、ガソリン価格の高騰を招き、これ以上の量的緩和政策は難しく、アフガンからの撤退で軍事費削減を進めなくてはいけないほどに追い込まれている。EUもギリシャ問題など頭の痛い材料に対し根本的な解決の目処は立っていない。

  一方、高い成長を続けてきた中国、インドでは物価高と貧富の差拡大で社会が急速に不安定化している。いつ暴動が起きてもおかしくない状態と指摘されるほどだ。もちろん、日本も同じ。改めて取り立てることがないほど政治が揺らぎ、日本の進路に自信が持てない。

  リーマンショックを乗り越えてきた各国がここに来て、難しい局面を迎えている。問題は、このように内に悩みを抱えるときはトラブルが起きやすいことだ。国内における国民の不満を外へ向けるという常套手段がとられやすいこともある。とくに、貧富の格差を抱えている地域は要注意である。南シナ海での領海問題あたりは目が離せない。宮城沖の日本の排他的経済水域にも無断で外国の怪しげな船舶が出没しているという。もちろん、世界でテロの脅威はおさまってはいない。むしろ、アメリカのアフガン撤退で脅威は増す心配さえある。

  こうした不安定な動きを嗅ぎ取ってか、既に、23日のNYダウは一時230ドルの急落となるなど波乱を見せ始めている。強くないはずの「円」が、ドル、ユーロに対し高くなっていることは、日本以上に海外の状況が厳しいということかもしれない。かといって、強い円が強い株式マーケットにつながっているか、といえばそうではない。政局がガタつき、しかも放射能問題がいっこうに終息に向かわない日本の株については外国人投資家が大量に売り越しに転じている。

  厳しい話ばかりである。相場が『閑散に売りなし』で、夏を乗り切ることができればよい。しかし、暑い夏には世界中がイライラ状態となるため、ちょっとしたことをきっかけに大きい事件となってしまう危険もある。何も起こらないことを祈りつつも、今年は悩ましき夏となりそうだ。外国人投資家の持株の少ない銘柄ということになりそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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