繰り返し学習の効果を科学的に証明
2011年6月17日 11:00
一夜漬けなどの集中学習によってできた記憶に比べ、適度な休憩をとり、繰り返し学習する分散学習でできた記憶の方が長続きすることを理化学研究所はマウスを使った実験で科学的に証明できたと15日発表した。
これは理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)の永雄総一運動学習制御研究チームリーダーと岡本武人テクニカルスタッフ、遠藤昌吾東京都健康長寿医療センター部長、白尾智明群馬大学医学部教授らが共同研究してきたもの。
研究グループは「マウスの眼球の運動学習に着目して、集中学習と分散学習の記憶が脳のどの部位に保持されているのかを実験で調べた」。その結果、「集中学習の記憶はプルキンエ細胞(小脳皮質の神経細胞)に、分散学習の記憶はプルキンエ細胞の出力先である小脳核の神経細胞に保持されていることを突き止めた」。
また「小脳核の神経細胞に長期記憶が形成されるには休憩中に小脳皮質で作られるタンパク質が重要な役割を演じていることを確認。このタンパク質を同定することができると記憶が作られる仕組みを解く大きな手がかりとなり、記憶障害の治療に役立つことが期待される」としている。(編集担当:福角忠夫)