クラウディアさんには聞けないWindows Azure Q&A
2011年6月16日 00:02
先日より「ハーフのクラウド技術者」というヒロイン、クラウディア窓辺がWindows Azureを紹介するWebマンガ「クラウドガール」が公開されている。第1話ではWindows Azureの概要が、第2話ではEclipseを使ったPHPアプリケーション開発が紹介されており、これを読めばWindows Azureを利用する際の雰囲気がつかみ取れるようになっている。
しかし、「クラウドガール」ではそれぞれの詳細は「ドキュメントをCheck!」となっており、Windows Azure自体の基礎的な仕組みやサービスについてはあまり触れられていない。そこで、本ストーリーでは「クラウディアさんには聞けないWindows Azure Q&A」と称し、クラウディアさんに聞いたら「こんなことも知らないの?」と怒られてしまうかもしれない、Azure利用者には常識でも利用者でない人にはあいまいな知識になりがちな基本ポイントを整理した。皆さんにとっては常識だっただろうか?
このほかにもAzure初心者にあった勘違いや疑問点などがあれば、ぜひコメントでお寄せ頂きたい。
Q:ほかのホスティングサービスとの違いは? A:インターネット経由でコンピュータをユーザーに提供するという点では、Windows Azureは他のホスティングサービスと同じです。しかし、Windows Azureは大規模なデータセンターで自動化された環境から、クラウドに最適化されたアプリケーション実行環境やOSを稼働させられる仮想環境を提供するという点が他のサービスと異なる点です。
Q:Amazon EC2との違いは? A:AmazonのEC2サービスは仮想マシンを提供するIaaSサービスで、仮想マシン上のOS環境についてはユーザーが責任を持って管理しなければなりません。いっぽうWindows AzureではユーザーはOS環境を管理する必要はなく、実行するアプリケーションのみに注力できます。
Q:Google App Engineとの違いは? A:Google App EngineはWindows Azureと同様のPaaS型サービスですが、利用できる言語やライブラリに制限があり、開発に独自のノウハウが必要です。いっぽうWindows AzureではWindows Server向けアプリケーション開発と同じノウハウが利用でき、.NETやPHP、Ruby、Python、Javaといった言語で容易にアプリケーションを開発できます。また、Windows Azureではユーザーが作成した仮想イメージを動作させることもでき、移行のための環境も考慮されています。
Q:SQLデータベースを使うには? A:Windows AzureではSQL Serverをベースとした「Microsoft SQL Azure」というSQLデータベースシステムが利用できます。SQL Azureの物理的な管理はすべてマイクロソフト側が行い、またデータのレプリケーションなども自動的に行われます。そのため、ユーザーはデータベースシステムを管理する必要はなく、データの管理のみに集中できます。
Q:Windows Serverで動いているサービスをそのまま実行させることは可能? A:Windows Azureではハードウェアが抽象化され、印刷やセキュリティ、ネットワーク関連などの機能は提供されません。また、SQL AzureはSQL Serverのすべての機能やデータ型をサポートしているわけではないため、Windows Server向けアプリケーションがそのまま動作するわけではありません。しかし、SQLはSQL Serverと同様Transact-SQLを用い、また従来のリレーショナルデータベースと同様の設計が可能であるため、移行は容易です。
Q:一度Windows Azureで動かしたサービスを非Windows Azure環境に移行させることは可能? A:SQL Azureを利用し、ASP.NETやPHPで開発した一部のアプリケーションはWindows Serverに簡単に移植できます。ただし、Windows Azure固有のAPIやストレージなどを利用するアプリケーションの場合、一部再設計が必要です。
Q:古いWindows OSやWindows以外のOSを動かすことは可能? A:現在Windows Azureでは、Windows Server 2008 SP2およびWindows Server 2008 R2がサポートされています。また、現在ベータ版で提供されている「VM ロール」ではWindows Server 2008 R2のみが利用可能ですが、今後Windows Server 2003やWindows Server 2008のサポートも予定されています。
Q:ストレージはどのように提供されますか? バックアップ方法は? A:Windows Azureではストレージとして「Blob」と呼ばれるデータストレージや「Table」と呼ばれるKey-Valueストア、「Queue」と呼ばれる小容量のデータを格納できるキュー型ストレージ、そして「Windows Azure Drive」という仮想ハードディスクドライブが利用できます。これらのストレージ内に保存されたデータは常に複数の物理ストレージにコピーされて保管されるため、ユーザーがデータ保全のためのバックアップを行う必要はありません。
Q:サービス利用にあたって必要なもの、操作環境は? A:Windows Azureの利用やWindows Azure向けアプリケーション開発には、Windows Azure SDKが必要です(Windows Azure SDKの動作環境はWindows Vista/7もしくはWindows Server 2008以降)。また、Windows Azure向けのASP.NETアプリケーション開発にはIIS 7.0以降が必要となります。そのほか、SQL Azureを利用する場合はSQL Server 2005/2008以降(Express Editionでも可)も必要となります。また、IDEとしてはVisual StudioやEclipseが利用できます。 スラッシュドットのコメントを読む | Windows Azure
関連ストーリー:
/.Jに聞け:クラウド、使ってる? 2011年06月13日
Microsoft、Windows Azure技術解説漫画「クラウドガール」を予告する 2011年04月30日
Microsoft、クラウドサービス向けプラットフォーム「Windows Azure」発表 2008年10月30日