<米国>5月のISM景況感指数:新興国の金融引き締め

2011年6月7日 11:00

 6月1日に米国サプライマネジメント協会から発表された5月の「ISM製造業景況感指数(※下部に説明あり)」。総合指数は前月より-6.9ポイントで53.5になりました。内訳を詳しく見ると、新規受注指数は前月より-10.7ポイントで51.0、生産指数は-9.8ポイントで54.0、雇用指数は-4.5ポイントで58.2となりました。また、今回の総合指数の市場予想は57.1でしたが、3.6ポイント下回る結果となりました。

 続いて、3日に同協会から発表された5月の「ISM非製造業景況感指数(※下部に説明あり)」。総合指数は前月より+1.8ポイントで54.6になりました。内訳を詳しく見ると、事業活動指数は前月より-0.1ポイントで53.6、新規受注指数は+4.1ポイントで56.8、雇用指数は+2.1ポイントで54.0となりました。また、今回の総合指数の市場予想は54.0でしたが、0.6ポイント上回る結果となりました。

 製造業の回復ペースが一気に鈍化しました。主な原因として、3月に発生した東日本大震災で製造に必要な部品が調達できなかったため生産を縮小したことが考えられます。加えて、中国・インド・ブラジル・ロシア・韓国・タイなど新興国の物価上昇率がかなり高い水準に達していることから、金融引き締めの動きが出てきており、これらの国に対する輸出ペースが少なからず失速していることも原因の1つになっていると思われます。米国自体の景気は、追加金融緩和策が一服したのに加え、ガソリン価格が上昇したこともあり、継続的な拡大があまり期待できない状況です。よって、一時的な落ち込みから反発したあとは、緩やかに回復ペースが落ちていく展開になるのではないでしょうか。

 ※1製造業約350社に1カ月前と比較して景気(生産・新規受注・雇用状況などなど)が「良い」「変わらず」「悪い」の3択で答えてもらい、これを基に指数を算出。50を下回ると景気後退、50を上回ると景気拡大の状態と考えられる。

 ※2非製造業約370社に1カ月前と比較して景気(事業活動、新規受注、雇用状況など)が「良い」「変わらず」「悪い」の3択で答えてもらい、これを基に指数を算出。50を下回ると景気後退、50を上回ると景気拡大の状態と考えられる。米経済の約9割を非製造業が占めています。

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