人の健康も株も複合的要因で動く=犬丸正寛の相場格言
2011年5月23日 10:03
子供が体調を崩したとき、親は「熱」、「ノドの腫れ」、「顔色」などを見て状態を把握しようとします。こういった行為は、株でいえば、「業績」と「チャート」だけをみて判断しようとするのと似ています。残念ながら、これは子供の病状の一面だけ、株についても、ほんの一部分を見ているに過ぎません。実は、病気も株も、そう簡単なものではないはずです。
われわれ成人は病院のドクターに1度や2度はお世話になっていると思います。機会があれば、是非、先生にお願いして検査データを見せてもらってください。たくさんの横文字と数字で打ち出された「生化学」検査の結果が並んでいます。
たとえば、「HB-A1c」とは血糖値のデータです。昔は野原でオシッコしたときに蟻(アリ)が寄って来れば「糖」が下りていると判断されたといいます。家の近くのお医者さんで、空腹時の血糖値を調べてもらうことがあると思います。これは、その日限りのデータであって、HB-A1cとは違います。HB-A1cは1ヶ月間の平均の血糖値です。
株価で言うと、「当日の株価」と、「30日移動平均値」の違いのようなものです。傾向値を見るのがHB-A1cです。「当日血糖値」は70~110が正常値、「HB-A1c」は4.3~5.8が正常値といわれます。当日血糖値が良くても、1ヶ月平均値でみれば正常値をハミ出している場合が非常に多いようです。禁酒して空腹状態なら当日値は良くなるでしょう。しかし、日頃、食べすぎ飲みすぎが多いと血液中に糖分が貯まっていくのです。
株価も同じです。日々の動きに一喜一憂ばかりでは傾向を見失い、防げたかもしれな大暴落(大病)に巻き込まれてしまいます。人にとって一番大切な命。次はお金だろうと思います。1番目、2番目に大切なものに対し、神経質となる必要はありませんが、しかし、共に大切にしてあげたいものです。健康もお金も大切にしてくれると応えてくれるはずです。
とくに、それ相応の年齢となれば健康と株を見る場合は総合的な目でみるクセをつけたいものです。投資経験の豊富な方でも、株は、「業績」さえ見ておけば大丈夫という接し方がの人が多いようです。残念ながら株はそれだけではありません。上昇率、下落率、上昇の日数、下げの日数、信用残、PER、利回り、テーマ性など、様々な複合的な要因で動きます。もちろん、業績は大切な物差しですが、それだけでは決まらないことは肝に命じておいて欲しいものです。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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