現代を生き抜くためのノウハウ満載!中小企業IT活用実践手法:第6回 IT導入の失敗しない社内体制とその対応方法

2011年5月18日 12:23

■IT導入時の社内体制構築の重要性
 IT導入時の社内体制に関して読者のみなさまはどのようにお考えでしょうか?例として以下の中で該当する場合はITがうまく経営者のビジョンや目標に対して活かされていない可能性があります。是非、検討してみてください。

(1)IT導入に関して経営者は無関心で、IT導入に関する社内組織(プロジェクト)に関与していない。(または過去に一度も関与していない。)
(2)IT導入時は、外部専門家などは活用せずに、ベンダー各社の見積書と提案書のみで自社独自の評価でベンダーとITツールを最終的に決定してしまっている。
(3)IT導入に関しては、社内の情報部門(ない場合はそれに該当する部門)に任せきりで特に他の組織は関与していない。
(4)IT導入後の教育などは特に行なわれておらず、IT導入後は各自マニュアル等を見ながら、場合により口頭で使い方を学ぶ程度になっている。
(5)IT導入後の改善について現場主導で行われてしまい。IT改修などのコストが掛かる事について経営者が関与せずに現場主導になってしまっている。

 上記は代表的なIT導入時の失敗原因となる社内体制と取組方の例です。実はIT導入の失敗は、この社内体制が確立せずに、一部の社内の情報部門の中でクローズして議論がなされたままIT導入してしまった結果、途中で現場の各部門からの追加品質や機能追加要求、経営陣の過剰なコスト削減要求、無理な納期要求などにより品質(Q)、コスト(C)、納期(D)のQCDのバランスがとれずに最終的に当初の目的や予算、納期と違ったIT化となってしまうことです。これが俗にいう"IT化(導入)の失敗"といわれるケースです。

■IT導入時の課題の大半は人と組織に関係している!?
 では、代表的なIT化(導入)の失敗について世の中のIT化80%程度が失敗の程度の違いはありますが少なからずこのケースとなってしまっています。それでは、このようなことにならないようにするにはどうすればよいでしょうか?

 結論から先に申し上げますと「IT導入時は社内体制構築をきちんとプロジェクトして作れば良い」という答えになります。つまり全員参加、全員責任でIT化の失敗となった場合でも犯人を作らない組織体制(プロジェクト)です。このようなお話をすると読者のみなさまから反論をいただきそうですが、逆に反論の真の原因はなんでしょうか?

 確かに読者のみなさまの企業では経営者はITに関しては無関心かもしれません。それならまだ良い方です、逆にIT嫌いでIT投資については非常に慎重且つ反対派かもしれません。また、世の中に数限りないITツールとベンダーを選定し、社内の課題を解決するには私のようなIITコーディネータ等を活用するには確かにコスト面などで負担かもしれません。

 その他、情報部門以外の他部門がIT導入時に関与することも難しい、などのコストがかかる事に関して現場主導になってしまっているなど典型的なケースです。

 これからを解決するには冒頭に結論を申し上げた通り、「IT導入時は社内体制構築をきちんとプロジェクトして作れば良い」という答えになります。

■IT導入の失敗しない社内体制とその対応法
 では「IT導入時は社内体制構築をきちんとプロジェクトして作れば良い」について、これらを一気に解決したいところですが、まずは最初にやらなければならないことは、IT導入時には確実に経営者自らが関与しIT化後の企業のビジョンや目標を掲げる事をお勧めします。経営者がすべてのIT化の会議などに関与することは不可能かと思います。

 筆者が過去に対応してきた数々のIT化案件支援(ITコーディネータ活動)で成功した案件はほとんどがこの経営者がせめて最初だけでもIT化後のビジョン、目標を掲げ、それに対して、各部門の責任者がそれぞれ参加した形で社内体制を作りIT化のプロジェクトで対応してきました。このようにIT化の目的は経営者の企業のビジョンや目標を頂点に対応することで、波及して全体最適を目指すことにつながり、その後の各種現場での改善活動にもつながります。

 是非、難しいと思わず、社内体制をきちんとプロジェクトとして組み上げて対応をしてみてください。どうしても自社の力だけでは高度なIT化が難しい場合は無理しないで私のようなITコーディネータ等を活用してください。場合により国や県などの補助金などでお安く対応できるケースもあります。

 では、次回は『最新のクラウドコンピューティング活用方法』にについてお話していきましょう。是非、お楽しみに!!

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