今仙電機製作所は海外の積極的な強化が目立つ=犬丸正寛の銘柄カルテ

2011年5月18日 10:02

■景気に明るさが加わって自動車販売が上向くまでは同社株は出番待ち

  【どうなっている】 今仙電機製作所 <7266> =東日本大震災発生直前の3月10日終値は1327円。震災下げでは3月15日に2009年6月以来の水準となる850円まで下げた。3月22日には1187円まで39.6%戻し、この間のTOPIX(東証株価指数)の上昇率29.4%は上回ったものの、震災前水準は回復できていない。4月上旬以降は1000~1070円のモミ合い。17日(火)終値1024円は年初来高値1450円(2月21日)に対し7合目水準。

  業績は営業利益でみればピークは2008年3月期の66億7600万円。以後、2009年3月期36億8700万円、2010年3月期51億8500万円、そして2011年3月期64億1400万円(23.7%増)と、ほぼ最高水準まで回復している。

  【どうなる】 2012年3月期の会社側見通しは「未定」。同社の主力はパワーシートデバイスなど機構製品、電子ユニット、ランプ、ホーンなど自動車関連製品。国内の自動車販売は厳しいものの、海外は好調。テネシー州に米国第二の生産拠点として新工場を設置、操業開始に向け準備中。タイにも第二工場を設置、中国においても広州に次ぐ第二の生産拠点「武漢今仙電機」の設立を決定など、海外の積極的な強化が目立つ。こうしたことから2012年3月期も高水準の業績が予想されそうだ。

  前期の営業利益率は7.7%(2010年3月期7.0%)、1株利益は206.2円、配当は年20円(同年17円)だった。

  株価が震災前水準を回復できていないことはホンダ(同社の1位株主)など自動車株の影響は大きい。全般相場次第では4ケタ割れも予想されるものの、基本は1000円ていどでのモミ合いとみていいだろう。

  【どうする】 5月17日(火)の1024円は、前期実績での配当利回りは1.9%、PERは4.9倍。とくに、PERでの割安が目立つ。年初来高値をつけた2月頃に高水準だった信用買残は3月の下げでそうとう減った。需給面での売り圧迫はなさそうだ。

  一方、低PERは裏を返せば人気性に乏しいことである。このため、同社株単独での活躍は考え難いだろう。ホンダ、トヨタといった自動車株の活躍が必要だろう。震災復興のツチ音が高まり、景気に明るさが加わって自動車販売が上向くまでは同社株は出番待ちだろう。短期投資向きではなく中長期向き。1000円以下を仕込んで待つのがよいだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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