富士重工は下値不安なく夏場狙い!「風力発電」のテーマ性も=犬丸正寛の銘柄カルテ

2011年5月11日 19:07

■夏場の電力不足が目立ち始める6月から7月頃に上昇となる可能性

  【どうなっている】 富士重工業 <7270> は、2008年12月の安値223円から2011年2月の758円の2年2ヶ月長期スパンで約3.4倍の上昇。去る3月の震災時下げでは486円まで下げ直近では610円程度と、高値から約2割下、3月安値から約26%戻した水準。特に、高値と安値の「中間値」622円に対し、11日(水)には高値621円まであり中間値にほぼ達した。

  短期的な動きでは、3月安値からの上昇の形では、派手さはまったくなく、「ジリ高」の地味な動き。信用取引は「買残」、「売残」とも高水準で、この面からは、きっかけがあれば人気化する可能性はあるだろう。

  【どうなる】 短期的には引き続きジリ高か、モミ合いが予想される。

 (1)12年3月期の見通しが未定となっていて業績買いができない。  (2)週足チャートで強弱の分岐点となる26週線(640円)に近づいている。  (3)発行株数が約8億株と大型で、現在のマーケット人気が中小型の業績見通しの明確な銘柄に向かっている。

 などがあるからだ。

  仮に、同社株が人気化する可能性があるとすれば、3月期決算発表が一巡し業績相場が終わり、復興関連、エネルギー等のテーマ買いが再燃する時だろう。同社株には「風力発電」のテーマ性があるから、この観点に立てば、夏場の電力不足が目立ち始める6月から7月頃に上昇となる可能性はある。

  【どうする】 12年3月期の業績は未定ながら、11年3月期は10.6%増収、営業利益3.0倍、1株利益64.5円、配当は年9円復配という内容。国内の販売台数7.7%減の15万8000台に対し、世界での販売台数は27.4%増の49万9000台。今期も震災の影響等で国内には多くは期待できないだろう。

  11日(水)の終値612円は11年3月期の1株利益64.5円で計算したPERは9.4倍。12年3月期の1株利益が仮に横ばい予想でも、間違いなく割安。特に、配当利回りについては1.4%とそれほど魅力はないものの、先行き、年10円が期待できるということになれば年9円と年10円配当では優良株としての格がついてくるので配当面にも注目される。

  ただ、印象としては、第2四半期(4~9月)が終わるまでは通期の予想は明らかにならないのではないか。そうすると、手がかりは、やはり夏場の電力不足→同社の風力発電に注目、ということだろう。

  結論としては、下値不安はなさそうだから、夏場狙いで600円接近場面は仕込んで待つのがよいだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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