日本マイクロソフト PC節電プログラムを無料で提供へ
2011年5月10日 23:25
日本マイクロソフトは10日、同社の基本ソフト(OS)「Windows(ウィンドウズ)」を搭載したPCに向けに、自動節電プログラムを無料でダウンロード提供すると発表した。「本年夏に予想される電力不足に向けた節電対策とする」(同社)とのこと。この節電プログラムにより、一台あたり平均30%の節電効果が見込めるという。
対象となるOSは、Windows 7、Windows Vista(R)、Windows XP (全ての Service Pack)。同社のウェブサイト(http://www.microsoft.com/japan/setsuden)から無料でダウンロードできる。自らPCの設定変更が難しい一般ユーザーや、情報システム担当者がいない法人ユーザーを想定し、自動で変更されるプログラムにした。
節電プログラムをダウンロードすることで、「画面の明るさ」が40%(Windows 7, Windows Vista ノート PCのみ)に調節されるほか、不使用時に「ディスプレイを暗くする」までの時間が2分 (Windows 7 ノート PC のみ)に、不使用時に「ディスプレイの電源を切る」までの時間が5分に、不使用時に「コンピューターをスリープ状態にする」までの時間が15分に変更される。同社が財団法人電力中央研究所と共同で実施した、Windows PCの消費電力検証で、「Windows PCの利用において、スリープもしくはスタンバイの有効活用と、利用時のディスプレイ輝度調節による節電効果が高い」(同社)ことがわかり、今回の節電プログラムの開発に至った。
また、同検証において、「最新のPCは、5年前に発売されたPCに比べて平均約53%の節電効果があり、また、ノートPCはデスクトップPCに比べて平均約66%の節電効果がある」(同社)こともわかった。古いパソコンを思い切って新しく買い替えることも、夏に向けての節電対策になりそうだ。
さらに、共同検証に当たった財団法人電力中央研究所システム技術研究所の上席研究員工学博士である中野幸夫氏は、「現在、PCのない生活は考えられません。日本全国に7000万台を超える数のPCが普及している中で、1台の節電効果は小さくとも、使い勝手を損なうことなく節電する方法とその効果を明らかにしたことには大きな社会的意義があると考えています。さらに、PCの節電には、冷房に必要な電力を減らす効果もあります。オフィスなどにおいて、PCの消費電力を1kW削減すると、冷房に使われる電力は約0.3kW削減されます。すなわち、PCの節電1kWはオフィス全体では1.3kWの節電になります。この効果も忘れてはなりません」(同社)とコメントし、PCにおける電力の節電が冷房費の節約に繋がると訴えた。
東日本大震災の影響による電力不足を受け、家庭と企業における節電意識が高まっている。同社が3月16日に立ち上げた「Windows PCの節電に関する情報サイト」には、既に約30万件以上のアクセスがあるという。これを受け、同社は今後さらに、「Windows PCの節電に関する情報および効果的な利用方法について、ウェブサイト、店頭や各種セミナーなどを通して提供していく」(同社)方針。