「4ストロークのヤマハ」、スノーモビル界で定着

2011年5月9日 11:00

 ヤマハ発動機は、二輪車用エンジン技術を応用して国産初のスノーモビルの第1号モデル「SL350」を1968年に発表して以来、さまざまな需要に応えたスノーモビルを発売してきた。現在、スノーモビルの市場は、北米、欧州を中心に12万4千台(2010年世界総需要)となっているが、そのうち2ストロークエンジンを搭載したモデルが未だに北米で79%を占める。主なメーカーは、カナダのski-doo、米国のPOLARIS、ARCTIC CATなどがあり、過去にはホンダ、カワサキも参入していたが、現在も生産を続けている国内メーカーは同社だけだ。

 同社は2002年に4ストロークモデル「RX-1」を発表。当時スノーモビルは2ストロークエンジンが主流だったが、同社は環境・燃費に配慮した4ストロークモデルへの切り替えをいち早く実施した。

 4ストロークの魅力として挙げられるのが燃費と排出ガスのクリーンさだろう。排気ガスの成分でみると、燃料を燃やし切る4ストロークは、一酸化中毒の原因となるCOや、光化学スモッグを発生に関わると言われるHC(ハイドロカーボン)が2ストロークと比べて大幅に少ない。また4ストロークはローメンテナンス&ローコストなエンジンでもありHC排出量が少ないため、マフラーなどの清掃はほとんど不要。潤滑系オイルは、燃料と一緒に燃やす2ストロークに比べほとんど消費がなく、ピストン&シリンダー性能との相乗効果で劣化と消費も抑えている。4ストロークスノーモビルは、ライダーにも環境にも優しいといえる。

 また、馬力や軽量さから2ストロークが優位とされるスノーモビルレースシーンにおいても、同社は4ストロークモデルでその常識を覆す結果を出してきた。2005年主要4メーカーの中で初めて4ストロークエンジン搭載モデルにて全日本スノーモビル選手権にエントリー、翌年の全日本選手権では、4ストロークスノーモビルで史上初のチャンピオンを獲得し、2008年にはアメリカ、ウィスコンシン州のイーグルリバーで行われた世界選手権で優勝した。その後も、2ストロークに負けない性能を作りながら、4ストロークだからこそできる進化を目指して、さまざまな用途や環境に適した商品の開発・導入を続けている。

 初の4ストロークモデル発売から10年目となる今年、同社は海外向けグローバルWebサイトに4ストロークモデル発売10周年記念Webサイトを公開している。海外向けサイトのため英語版となるが、4ストロークスノーモビルの10年の歴史のなかで、同社が目指してきたスノーモビルについて詳しく掲載されているという。

関連記事

最新記事