これまでで最も重い反物質、反ヘリウムが見つかる

2011年4月26日 10:00

  TarZ 曰く

 米ブルックヘブン研究所 (BNL) の実験により、ヘリウム 4 (4He) の反物質である反ヘリウムが発見されたようだ。反ヘリウムは、既知の反物質としては最も重いものとなる (Brookhaven National Lboratory News の記事より) 。

 BNL の重イオン加速器 RHIC による実験で、ほぼ 10 億回の金原子核の衝突によって生じた 5000 億の荷電粒子の軌跡を調べたところ、その中で 18 例だけ、反ヘリウム原子核と思われるケース (つまり陽子のほぼ 4 倍の質量で電子 2 つ分のマイナスの電荷を持つ粒子) が含まれていた。これは計算上予想される反ヘリウムが生じる確率ともよく合うのだそうだ。

 なお、反ヘリウムよりも重い反原子核 (たとえば次の反リチウム) の生成確率は非常に低いため、実験装置に何らかのブレイクスルーがない限り、人類に合成できそうな反物質で一番重いのは今回の反ヘリウムまでということになりそうだという。BNL のプレスリリースにも書かれているが、今年 2011 年は、金箔にα線 (ヘリウム原子核) を衝突させた実験の結果から、ラザフォードが原子模型の着想に至った 1911 年からちょうど 100 年目にあたる。その記念的な年に、金の原子核の衝突実験によって反ヘリウム原子核を見つけたという報が出てくるのは面白い話である。

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