1-3月期の世界パソコン出荷、7四半期ぶりの減少
2011年4月14日 12:57
米調査会社IDCが13日発表した1-3月期の世界のパソコン出荷台数は前年同期比3.2%減の8,055万7,000台だった。減少は7四半期ぶり。IDCは、企業の慎重な姿勢、個人の消費意欲の低下が続いていることや、燃料・原材料価格の高騰、日本での震災などが重なって販売台数を押し下げたと分析している。
IDCのシニア・リサーチ・アナリスト、Jay Chou氏は「中東情勢と日本の震災の影響が不透明な状態が続いており、2011年の市場の短期的なパフォーマンスに確実に影響を及ぼすだろう」「長期的な成功は、ハードウェアのメーカーが単純なハード面での仕様を超えたメッセージを明確にできるかにかかっている。“そこそこ”のパソコンはミニノートやタブレット型端末の出現で揺ぎ無い現実となってきている。マクロ経済の影響でPCビジネスの動きを説明することもできるが、PCベンダーに投げかけられている本質的な問い掛けは、スペックの向上に対する支出を正当化する、説得力のあるユーザー体験をいかに実現するかということだ」と指摘している。
ベンダー別の出荷台数では、米ヒューレット・パッカード(HP)が前年同期比2.8%減の1,519万台で首位だった。2位は米デルで同1.8%減1,028万台、3位は台湾のエイサーで同15.8%減の903万台、4位は中国のレノボで同16.3%増の817万台、5位は東芝で同3.8%増の480万台だった。
世界PC出荷台数のトップ5ベンダー(暫定、単位:1,000台)
出典:IDC Worldwide Quarterly PC Tracker, April 13, 2011
IDCによると、HPは中南米での需要の拡大をうまくとらえたが、アジア・太平洋では苦戦。デルは米国の消費者向け市場など中核市場で低調だっが、中国など新興市場での伸びに支えられた。エイサーは中東・北アフリカでの政情不安に影響を受けた。レノボはアジア・太平洋でのシェア拡大を続け、他の市場への進出も続けている。東芝は欧州、中東、アフリカ以外の市場で堅調に推移した。
今後の見通しについてプログラム・バイス・プレジデントのBob O'Donnell氏は、「米国と世界のPC市場は困難な状態が続いており、我々はこの状態が4-6月期まで続くと予想しているが、今年下半期には改善を始めると見ている」「これは完全にタブレット型端末の成長によるものだと指摘したいところだが、PCのライフタイムが伸びていること、魅力的なPCの新しいユーザー体験が欠けていることなどの他の要因も同程度に重要だと我々は考えている」と述べている。
地域別では、米国は前年同期比で10%以上減少。2010年は堅調だったが、IDCは市場が変換点を迎えたと指摘している。欧州、中東、アフリカは、消費が低調なことなどから販売台数は予想を下回った。日本は震災の影響もあり、同15.9%減だった。日本を除くアジア・太平洋は5.6%増だった。