震災で報道された企業のその後をウォッチしてみた=田北知見の銘柄ウオッチ

2011年4月8日 18:26

(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)

  東北地方太平洋沖地震の発生から約1ヵ月が経った。被災者の長引く避難生活、原発事故による放射性物質の恐れ、余震といった課題はあるものの、地域によっては幾分 落ち着きを取り戻してきたように思う。私が住んでいる関東の1地域では、近所のスーパー等を見る限り、品目等によってはまだ欠品が続いているものの、だいぶ品物が出まわるようになった印象だ。中長期ではまだまだ多くの課題が山積しているが、私もできるだけ平常時と同じように生活することで、国民の1人として復興の一端を担えればと思う。

  ところで、震災当初すぐに被災が大手マスコミ等から取り上げられた企業のその後はどうなっているだろうか、とずっと気になってウォッチしていた。その中から、千葉県市原市の千葉製油所が大規模な火災となったコスモ石油 <5007> (東1)、宮城県多賀城市の多賀城研究所が被災・孤立したと報じられたフクダ電子 <6960> (JQ)の株価等を見てみた。

★コスモ石油 <5007> (東1)

  8日終値は1円高の263円。単位1000株。今のところPERは約12.4倍、PBRは約0.7倍となっている。株価は3月15日に年初来安値180円まで売られたものの、その後、反発。モミ合いながらも下値抵抗線は切り上げてきており、一時は震災前の280円ラインまで戻す場面も出ている。復興関連として石油株が物色されたことなども背景にあるようだ。ただ、信用倍率は約0.6倍の売り長となっており、今後の調整局面を狙う向きも、あるいは業績の下方修正発表等があれば、そうした場面で下げると見る向きも多いようだ。中長期ではともかく、短期では、押し目と見て拾い、280円フシまでの戻りが目標となりそうだ。

 東洋経済新報社の『四季報速報』等によると、同製油所内では、25基のLPガスタンクのうち13基が焼失・損傷したものの、火災は同タンク地域と周辺のみで、石油精製設備は残っているという。

★フクダ電子 <6960> (JQ)

  8日終値は47円高の2560円。単位100株。PERは約11.4倍、PBRは約0.6倍となっている。チャートは3月15日に年初来安値2000円をつけたものの、その後は反発し、この2週間ほどは上値2600円ライン、下値2500円ラインの間でモミ合っている。チャート的には高値圏。復興銘柄として医療機器関連株に物色が入っている面もあるようだ。2400円台の押し目を待って小すくい程度が無難か。

  同社の発表によると、震災直後に多賀城研究所に孤立したと報じられた約200人は3月12日には全員無事に脱出した。また、それ以外の販売・サービス・生産拠点は被害がほぼ無かったこと、義援金2000万円、支援品として救護マットや人工呼吸器などを被災地へ届けたことも発表されている。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)

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