ここがポイント-会社を伸ばす中小企業の採用戦略:第3回 採用計画を考える上でのポイント(1)

2011年4月5日 19:18

 採用活動を行う時、必ず何らかの形で計画をすると思います。これは計画書を作るとか作らないとか、どこまで決めるのかという程度の差はありますが、少なくとも「どんな職種」の「どんなレベルの人」を「何人」、「いつまでに」、「どんな方法で」、「活動予算はいくら」というようなことは必ず考えると思います。

 今回は、採用活動を計画する際に、考慮しておきたいポイントをいくつかご紹介しようと思います。

■できるだけ急ぎ過ぎは避ける
 一般的に中小企業での採用活動といえば、スタッフに人数を割くことは難しいですから、どうしてもステップを踏んで時間をかけての活動は難しくなります。それこそ面接官は経営者だけ、もしくは総務部長などとの二、三人体制であったり、ただ一度きりの面接で決めていたりすることも多いと思います。 

 また中小企業でありがちなのが、経営者自身の「判断は早いほど良い」との価値観で、会ったその場で内定にしていたり、「早く決めたい」「早くしないと他社に取られてしまう」とばかりに、即決で入社を迫ったりするようなケースです。

 即断即決をすべて否定はしませんが、このようにたたみかけて決めると、やはりミスマッチを助長します。入社後の定着を考えると、理想はお互いの良いも悪いも納得した上で入社してもらうことであり、お互い冷静に相性を見るには、一定の期間が必要です。ここを省略すると、応募者も会社もお互いに間違う可能性が高まってしまいます。特に欠員補充などの中途採用の場合は、急いで決めようとする傾向が強くなりがちですが、急ぎすぎて後悔する結果になった経験がある方も多数いらっしゃると思います。最近は応募する側も、離職中の人などは急ぎがちな傾向があります。

 できることならば、最低でも1か月以上の期間と2回以上の面接、プラスして会社説明や条件提示といった懇談の場を1回以上設けることをお勧めします。違う人が会う、場の雰囲気を変える、主旨を変えるという形で何度か接点を持つと、はじめの印象とは違う側面が出てくることが結構あります。フレンドリーに接したら急になれなれしくなった、緊張したら何も話せなくなった、年下の面接官だと急に横柄になった、などなど。

 私の経験の一例ですが、何度かの面接の中で一度だけ遅刻した者を気にも留めずに採用したところ、実は遅刻の常習犯だったなんていうことがありました。やはり何度かのやり取りを重ねると、その中で出てしまう本性が必ずあるものです。

 採用活動は恋愛でいえば交際期間。くれぐれも急ぎ過ぎは禁物です。

■求人媒体の選び方
 求人媒体にはいろいろなものがあります。主なところではハローワークなど無料のもの、ウェブの求人サイト、新聞や折込の広告、人材紹介会社などになります。企業側にしてみれば、少ない費用で希望通りの人材が採用できればそれが一番ですが、なかなかそううまくは行きません。それぞれの求人媒体には、当然長所短所があります。同じ種類の媒体の中でも、主催会社による違いもあります。

 種類ごとの特徴と評価は、求人条件によって一概に言えないところはありますが、概ね以下のような形になります。

 ただしこれはごく一般論としてであり、求人媒体の捉え方は、その会社によって大きく違います。それは自分たちの会社で、「過去に採用につながった経験があるもの」を効果がある媒体として評価するからです。

 通年で採用活動を継続しているなど、ある程度の人数を採用している会社であれば、全体傾向で把握することができるのですが、中小企業の場合は採用人数が少ないことがほとんどですから、特に安い費用で良い人材が採用できたような経験があると、「お金をかけなくても良い人は採れる」となってしまいます。確率からいって、本当はそれが単に偶然出会った良い人材であったにもかかわらず、それに気づくことができずに二匹目のドジョウを狙ってしまうのです。その結果、なかなか思い通りの採用に結びつかないということになってしまいます。

 やはり過去の経験は経験としてそれだけに縛られないように意識し、その上で自社のニーズやかけられる費用、欲しい人材のレベルや採用市場の動向など、その時の状況をバランスよく判断した上で、どんな媒体を利用して活動するのかを決めた方が良いでしょう。日頃からの情報収集が大切になってくると思います。

 次回も、採用計画に関しての考え方やポイントを、いくつかお伝えしようと思います。

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