電力供給能力の不足は日本経済の復興に向けて足かせとなる深刻な課題

2011年4月4日 09:13

■土壌汚染調査や土壌改良工事の需要が発生

  市民生活に関して見れば、放射性物質の飛散に対する不安心理が高まり、買いだめなどの自己防衛行動もみられた。周辺地域で収穫された農産物や、周辺地域の海水や水道水から、基準値を超える放射性物質が検出されたことも、不安心理に拍車をかけている。浄水場で検出された放射性物質はその後、基準値を下回る水準に減少しているが、周辺地域の土壌は放射性物質で汚染されている可能性が高いため、原発被害対策として土壌汚染調査や土壌改良工事の需要が発生するだろう。

  東京電力の電力供給能力の低下と計画停電の実施は、企業の生産活動において生産高減少要因やコストアップ要因となっている。小売や外食関連の店舗営業にも支障が出ている。さらに市民生活の混乱を通じて、消費行動にも影響するだろう。したがって、必要電力の確保が当面の重要課題となる。

  東京電力では、東日本大震災で停止した東扇島火力発電所と鹿島火力発電所の運転再開、火力発電所の稼働率引き上げ、休止火力発電所の再稼働、LNG(液化天然ガス)火力発電所の新設、電力融通のための周波数変換装置や送電線の増強、企業や一般家庭の自家発電からの余剰電力買い取り増強などで、当面の電力供給体制を増強する方針である。そしてLNGや、LNG発電用ガスタービンなどの調達準備を進めている。

  しかし、冷房需要がピークとなる夏場には、供給能力が需要に届かない見通しである。節電努力などの効果があっても、夏場には大規模な計画停電や総量規制などの対応が避けられないだろう。電力供給不足が長期化すれば、東日本地域における企業の生産活動や市民生活が制約を受けることが避けられないため、自己防衛策として工場、大規模ビル、大規模商業施設、超高層マンションなどへの自家発電設備の導入・増強が進む可能性が考えられる。政府も補助金などで、工場の自家発電設備や家庭への太陽光発電設備などの導入を支援する方針のようだ。

■通信機能の充実や通信設備の増強も課題

  企業の自己防衛策や今後のリスク分散策として、自家発電設備に加えて、本社機能や生産機能の地域分散、サテライトオフィスや在宅勤務の活用なども考えられるだろう。この場合には、クラウドコンピューティングの採用が進み、通信機能の充実や通信設備の増強も課題となるだろう。

  一般住宅においても今回の計画停電では、オール電化住宅の不便さが指摘されている。したがって、省エネ家電製品の普及促進に加えて、リスク分散の一環として電気への依存度を下げるために、石油系、ガス系、さらに太陽光発電などの代替エネルギー系へと、エネルギー源の多様化が進む可能性も考えられる。

  なお、福島第一原子力発電所の再開の可能性や、今後の原子力行政の方向性については予想が難しい。事故の現状や被害の重大さを考えれば、福島第一原子力発電所の再開や、原子力発電の推進には厳しい状況が予想される。しかし一方で、電力供給能力の不足は、日本経済の復興に向けて足かせとなる深刻な課題である。

【東日本大震災復興特需関連銘柄一覧】 ・エムビーエス <1401> (福Q)=コーディング ・サーラ住宅 <1405> (東2)=耐震住宅 ・ショーボンドホールディングス <1414> (東1)=コンクリート構造物 ・セコムテクノサービス <1742> (東2)=保守・点検、メンテナンス ・太洋基礎工業 <1758> (JQS)=地盤改良 ・ヤマウラ <1780> (東1)=建築 ・大成建設 <1801> (東1)=コンクリート、防災システム ・松井建設 <1810> (東1)=耐震技術 ・鹿島 <1812> (東1)=コンクリート、防災システム ・不動テトラ <1813> (東1)=地盤、消波ブロック ・奥村組 <1833> (東1)=免震技術 ・東鉄工業 <1835> (東1)=耐震 ・北野建設 <1866> (東1)=民間建築主体 ・植木組 <1867> (東1)=土木 ・名工建設 <1869> (名2)=耐震補強 ・矢作建設工業 <1870> (東1)=耐震補強 ・ピーエス三菱 <1871> (東1)=PCコンクリート ・日本基礎技術 <1914> (東1)=耐震補強 ・日成ビルド工業 <1916> (東1)=プレハブ建築 ・大和ハウス工業 <1925> (東1)=防災システム ・ライト工業 <1926> (東1)=地盤 ・積水ハウス <1928> (東1)=防災システム ・協和エクシオ <1951> (東1)=免震装置 ・太平電業 <1968> (東1)=耐震補強 ・東芝プラントシステム <1983> (東1)=耐震工事 ・三信建設工業 <1984> (JQS)=耐震補強、地盤強化 ・E・Jホールディングス <2153> (東2)=防災支援 ・日本上下水道設計 <2325> (東2)=耐震改修 ・塩見ホールディングス <2414> (大2)=耐震診断、コンサルティング ・エスアールジータカミヤ <2445> (東2)=建設用軽仮設材レンタル ・帝国繊維 <3302> (東1)=救助資材、マスク ・ケー・エフ・シー <3420> (大2)=耐震材 ・エスイー <3423> (JQS)=耐震材 ・サンコーテクノ <3435> (JQS)=耐震 ・芦森工業 <3526> (東1)=防災用繊維 ・ODKソリューションズ <3839> (JQS)=学校耐震 ・電気化学工業 <4061> (東1)=コンクリート ・宇部興産 <4208> (東1)=地盤改良 ・西菱電機 <4341> (大2)=防災無線システム ・オリジナル設計 <4642> (東2)=耐震診断、コンサルティング ・環境管理センター <4657> (JQS)=環境総合コンサルタント ・川崎地質 <4673> (JQS)=診断・調査 ・キタック <4707> (JQS)=防災対策、耐震補強 ・構造計画研究所 <4748> (JQS)=耐震診断、コンサルティング ・ネクストウェア <4814> (JQS)=防災監視システム ・ウェザーニューズ <4825> (東1)=緊急地震速報 ・JFEシステムズ <4832> (東2)=緊急地震速報 ・コニシ <4956> (東1)=耐震材 ・東洋ゴム工業 <5105> (東1)=免震ゴム ・ブリヂストン <5108> (東1)=免震ゴム ・住友ゴム工業 <5110> (東1)=免震ゴム ・ニッタ <5186> (東1)=免震ゴム ・櫻護謨 <5189> (東2)=消防防災品 ・太平洋セメント <5233> (東1)=地盤改良 ・デイ・シイ <5234> (東1)=コンクリート ・ハネックス <5267> (東2)=コンクリート ・旭コンクリート工業 <5268> (東2)=コンクリート ・トーヨーアサノ <5271> (東2)=コンクリート ・日本ゼニスパイプ <5274> (JQS)=コンクリート ・日本興業 <5279> (JQS)=コンクリート ・ヤマウ <5284> (JQS)=コンクリート ・エーアンドエーマテリアル <5391> (東1)=耐震材 ・鶴弥 <5386> (東2)=粘土瓦や屋根材 ・新日本製鐵 <5401> (東1)=耐震材 ・ジェイ エフ イー HD <5411> (東1)=耐震材 ・東京鐵鋼 <5445> (東1)=耐震材 ・川口金属工業 <5608> (東2)=免震装置 ・三菱マテリアル <5711> (東1)=地盤改良 ・昭和電線HD <5805> (東1)=免震装置 ・日本電線工業 <5817> (大2)=防災用電線 ・日本パワーファスニング <5950> (大2)=耐震 ・岡部 <5959> (東1)=耐震材、免震装置 ・浅香工業 <5962> (大2)=防災用品 ・イワブチ <5983> (JQS)=防災無線 ・オイレス工業 <6282> (東1)=免震装置 ・コマツ <6301> (東1)=建設機械 ・電業社機械製作所 <6365> (東2)=環境機器 ・ダイフク <6383> (東1)=受信機器 ・モリタホールディングス <6455> (東1)=消防ポンプ車 ・日本ピラー工業 <6490> (東1)=耐震材 ・東芝 <6502> (東1)=火災警報器 ・IDEC <6652> (東1)=防災関連機器 ・富士通 <6702> (東1)=速報システム ・OKI <6703> (東1)=受信機器 ・明星電気 <6709> (東2)=緊急地震速報 ・アイホン <6718> (東1)=受信機器 ・能美防災 <6744> (東1)=防災システム ・ホーチキ <6745> (東1)=火災報知器 ・日本無線 <6751> (東1)=防災無線 ・新コスモス電機 <6824> (JQS)=火災報知器 ・日本フェンオール <6870> (JQS)=火災報知器、防災設備 ・極東開発工業 <7226> (東1)=コンクリートポンプ車や粉流体運搬車 ・KYB <7242> (東1)=免震装置 ・コンドーテック <7438> (東2)=耐震材 ・理研計器 <7734> (東1)=防災関連機器 ・前田工繊 <7821> (東2)=防災補修資材 ・ニチハ <7943> (東1)=耐震材 ・日本デコラックス <7950> (名2)=不燃板 ・西華産業 <8061> (東1)=発電プラント ・神鋼商事 <8075> (東1)=鋼材需要 ・三井不動産 <8801> (東1)=災害速報対応マンション ・建設技術研究所 <9621> (東1)=建設コンサルタント ・協和コンサルタンツ <9647> (JQS)=耐震診断、コンサルティング ・セコム <9735> (東1)=監視カメラ ・技研興業 <9764> (東2)=消波ブロック ・日建工学 <9767> (東2)=消波ブロック ・カナモト <9678> (東1)=建機レンタル ・西尾レントオール <9699> (大1)=軌道工事用機器、土壌改質設備 ・因幡電機産業 <9934> (東1)=空調 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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