「被災地の物流」に取り組む企業をウォッチしてみた=田北知見の銘柄ウオッチ

2011年3月25日 16:22

(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)

  NHKの『クローズアップ現代』は、ここ数回、東北関東大震災について、いろいろな角度からの内容で行なっているが、その中で3月22日放映の『被災者に届け 緊急支援物資』が印象に残った。被災地・被災者に、食品・石油製品・医薬品などの物資を搬送・配送・配布する上での課題や、実際に企業等が行なった施策などを紹介していた。

  放映されたのは、ローソン、石油連盟と出光興産、医薬品卸売会社のメディセオ仙台支店などの取り組みだったが、もちろん他に多くの企業がかなりの努力をしておられるのだろうと思う。むろん一番大変なのは被災者の方々だし、被災地の役所やボランティアの方々が頑張っておられることに対しても頭が下がる思いだ。

  番組では、物流について詳しい九州大学大学院の星野裕志教授が出て、たとえば地域ごとに支援物資などの物流センターのような場所をつくり、物資の分野ごとに分けて置き、必要な物を必要な場所へ届ける、というようなシステムはできないものかとの提言がなされていた。分野ごと、支援元(企業、自治体など)ごとに、個別に長距離運送し、さらに被災地や避難場所ごとにいちいち届けていては効率が悪い。企業が普段行なっている物流システムのような形ができれば良いと言うのだ。実現可能性はともかく、「確かにそうだ」と、目からウロコが落ちるような思いがした。

  放映された企業のうち、ローソンと、メディセオを傘下に持つメディパルホールディングスの銘柄診断をしてみた。

★ローソン <2651> (東1)

  ローソン <2651> (東1)の25日終値は35円高の3990円。単位100株。現在のところPERは約16.9倍、PBRは約2倍となっている。チャートは震災後の15日に年初来安値3200円をつけたが、以降はリバウンドトレンド。震災前の4000円ラインまで戻してきた。

  震災の業績などへの影響はまだ分からず、下方修正等が発表された時に「織り込み済み」となるか「想定より下方で失望売り」あるいは「悪材料出尽くし」となるのか。今のチャートを見る限りでは、3900円台の押し目小すくい、中期で4200円フシまでの戻りが目標となりそうだ。

★メディパルホールディングス <7459> (東1)

  傘下に医薬品卸のメディセオ、一般用医薬品や日用品のパルタックなどがあるメディパルホールディングス <7459> (東1)。医薬品卸では国内首位という。25日終値は24円高の714円。単位100株。今のところはPERは約43.5倍、PBRは約0.6倍となっている。チャートは中期で続落トレンドとなっていたが、3月15日に年初来安値573円をつけた。以降は反発し、下値抵抗線を切り上げてきている。

  震災後にはメディセオの釜石支店が壊滅的な状況にあるとの発表もあり、業績への影響等も確認中とのこと。しかしチャートは底値圏で買い時との見方が大勢なのか、信用買い残がかなり増えており、上値の重石になりそうだ。底値と見て買い、中期で900円フシまでの戻りを待つのも一手か。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)

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