【新聞&雑誌から投資ヒント】大震災を日経ビジネス、週刊東洋経済が大特集

2011年3月20日 13:39

■今後の影響に関心が高まる中、有力経済誌が緊急特集

  3月11日(金)、午後2時45分前後に発生した東北地方沖を震源とするマグニチュード9.0の大地震。太平洋プレートが500キロメートルにわたって崩壊したことで大津波が発生。多くの犠牲者や多くの建物等の流出を出し、しかも原子力発電所の放射線漏れまで引き起こした。

  首都圏では帰宅難民、計画停電、繋がらない携帯電話、店頭から消えた生活必需品など、庶民の生活にも影響が及んでいる。

  経済面への影響もこれから表面化が予想され、それを先読みして、日経平均は大きく下げた。地震発生の11日(金)は、地震発生から取引終了まで、残りの取引時間が15分程度だったことから、終値は1万0254円と、10日(木)の終値に比べ180円安にとどまった。

  しかし、週明け14日(月)終値は634円安の9620円、15日(火)終値は1015円安の9620円、一時は15日の安値が8227円(前日比1393円安)まで下げた。震災前10日終値に対し15日の安値は21.1%の大暴落となった。

  16年前の阪神淡路大震災時の下げに比べて非常に大きい。今のところ、15日(火)の安値8227円がボトムとなっているものの、災害規模の大きさからみて大底が入ったとは言い難い。大震災の今後への影響に関心が高まるなか、有力経済誌の「日経ビジネス」と、「週刊東洋経済」が、緊急大特集を組んでいる。投資だけでなく、大震災に対し、いろいろなことを教えてくれている。

【日経ビジネス】3月21日号

  『3・11日本最大の試練』と題し、現地レポートから復興の処方箋までの内容で構成している。地震の翌日、被災地に向った取材陣が目にした惨状が生々しく伝わってくる。

  東京電力福島第1号原子力発電所にも襲い掛かった巨大地震。「メルトダウンという悪夢」として取り上げている。メルトダウンとは、炉心融解のこと。われわれが大気中、食べ物等から取り込んでいる放射線は年間で2.4ミリシーベルト(世界平均)で人体への影響はないが、500ミリシーベルトの放射線が降り注ぐと全身被爆となり血液中のリンパ球が減少し白血病などにつながり、7000~1万ミリシーベルトの放射能を浴びると死亡するという。今、福島原発では、こうした危険にさらされる恐れが出ているわけだ。

  この福島原発で放射線量が高まったことで市場は一気に緊迫、日経平均の9000円割れにつながったということだ。東芝は福島原発に原子炉蒸気供給機器や発電設備などの納入実績がある。また、東芝は06年米ウエスチングハウスを買収し原子力部門を強化したが、今後の原子力開発に不透明感が高まったことでストップ安(値幅制限いっぱいまで下げること)したという。株式に代わって安全資産の債券が買われ10年物国債利回りは一時1.145%と約2ヶ月ぶりの水準に低下(債券価格は上昇)と指摘。

  岩手、宮城、福島、茨城の4県に生産拠点を置いている企業を地図の上で取り上げているのも参考となる。幅広い業種の企業がこの地域に生産拠点を置いていると紹介。しかし、「リスクを分散したはずが・・・」とリスク管理の難しさも指摘。

  震災直後に携帯電話や固定電話がパンク状態に陥ったのに対し、「予想以上のしぶとさを発揮したネット」とネットを賞賛。動画配信、ツイッターなどが貴重なインフラとして機能したと評価している。そして、「国難」に問われる政治力の重要さを強調している。

【週刊東洋経済】3月26日号

  『検証 大震災 これからどうなるのか何をなすべきか』と題して、約30ページの特集を組んでいる。

  特集内容は次の項目でも分かるように幅広い。

・東日本大混乱。縮む日本経済 ・「原発」非常事態宣言 ・産業界も操業「停止」 ・グローバル社会の反応と懸念 ・乱高下する株価、日本売りはどこまで加速するのか ・不動産投資減退。どうなるマンション・地価 ・東日本巨大地震の構造。東海・西日本は? ・震源とプレート、余震域、活火山 ・そのとき記者は歩いた。帰宅路27kmサバイバル ・帰宅難民にならないための3カ条 ・もろさをみせた携帯電話。意外に強かったPHS ・地震でおりる保険とは?津波被害のときの注意点

  こうした項目のように、今度の大震災に対し知りたいことに幅広く応えている。とくに、経済損失規模については16~17兆円と紹介。興味深いこととしては、かつて、関東大震災に見舞われたとき、当時、同社の主幹だった石橋湛山氏(のちに内閣総理大臣)が社説で、「わが国は今回の災害により、あらゆる方面に人為のさらなる改良すべきものあるを発見する。この経験を科学せよ」と訴えたことを取り上げ、今の日本に当てはめられることと強調している。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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