震災のニュースや経験から気になった銘柄=田北知見の銘柄ウオッチ

2011年3月18日 18:53

(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)

  11日に起きた東北地方太平洋沖地震から1週間以上が経ち、報道の焦点は、被災地の支援・復興や、福島県の原子力発電所の事態収拾、首都圏の計画停電などに移った感がある。一方、経済面では、株安・円高や、製造・流通などへの震災の影響が話題になっている。また、ニュースなどでは、被災された方々の悲しい体験や、あるいは復興に向けて勇ましく立ち上がる人々の姿がレポートされている。「人間は、こうした時に、その人の本性が表れるのだろうか」と、大げさかもしれないが思ったりした。

  話は変わるが、私が住んでいる関東の町には、いくつかの大型店舗がある。本社が東京にあるような全国展開の店舗が多い。が、震災後の対応は店舗によってだいぶ違っていた。いくつかの店舗はすぐに店を開け、少しでも消費者の役に立とうという姿勢が伝わってきた。大きめの余震があった時には、店内にいる係の人が「広い通路に出てください」とお客に声をかけるなど、安全面も配慮されていた。

  しかし、あるショッピングモールはそうではなかった。震災後は数日間、ガッチリと閉鎖し、しかも防犯のためか、店は開けないのに夜間も大量の明かりを煌々と灯していた。消費者が困ろうが、首都圏は節電が必要だろうが、お構いなしというように見えた。「こうした時に、本性が表れる」のは、人だけでなく、企業にもいえるのかもしれないと思ったのだった。

  震災のニュース等を見て気になった銘柄を見てみた。

★セブン&アイ・ホールディングス <3382> (東1)

  上記の「消費者の役に立とうとする姿勢が伝わってきた」店舗のひとつがイトーヨーカ堂だったことから、セブン&アイ・ホールディングス <3382> (東1)を入れる。18日終値は31円安の1942円。単位100株。PERは約15.6倍、PBRは約1倍となっている。チャートは昨年11月につけた直近安値1800円台を底に上昇トレンドで来ていたが、今年3月1日につけた直近高値2328円から反落。調整局面にあったところへ、震災の影響もあり、15日には上場来安値1755円をつけた。以降はリバウンドの傾向が見えており、まずは2100円フシまでの戻りが目標か。信用倍率は約0.7倍の売り長となっており、買い戻しも期待してみる。

★ファーストリテイリング <9983> (東1)

  被災地への義援金として、柳井正 代表取締役会長兼社長が個人で10億円を寄付と報じられた、ユニクロのファーストリテイリング <9983> (東1)を入れる。同社はさらにグループ5社で3億円、全世界のグループ従業員約4万7000人の有志から1億円、加えて、支援物資として防寒衣料など7億円相当を寄贈すると報じられた。

  ファーストリテイリングの18日終値は620円高の1万0240円。単位100株。PERは約20.5倍、PBRは約3.7倍となっている。チャートは昨年11月から今月上旬まで、1万2000~1万3000円の間でモミ合っていたが、先週末から下落。15日には年初来安値8800円をつけた。以降は見直し買いなども入っているようで、反発の動きが出ている。まずは1万2000円ラインまでの戻りが目標となりそうだ。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)

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