銀行が頭を下げても貸したい会社、高い金利でも貸したくない会社:第1回 やはり、しっかりと利益が出ている会社に銀行は貸したい

2011年3月16日 17:08

■はじめに
 「2008年9月のリーマン・ショック以降、日本経済は低迷が続いている」というフレーズがまだ新聞紙上で散見されるように、引き続き多くの企業が不景気で苦しんでいます。
 
 金融機関からの借入が少なからずある企業において、業績も業界見通しも良いため金融機関が積極的に低利で融資してくれるのか、それとも業績が芳しくなく業界見通しも不透明なため以前よりも高い金利での借り換えを余儀なくされるのか、あるいは実質的に融資そのものがストップされるといった厳しい現実に直面している企業も多くあります。
 
 今回から数回にわたり「銀行が頭を下げても貸したい会社、高い金利でも貸したくない会社 ~金融機関は、会社のココを見ている~」というテーマでお伝えしたいと思います。

 第1回の今日は「やはり、しっかりと利益が出ている会社に銀行は貸したい」です。
 
■金融機関が見ているのは決算書だけ!
 金融機関の担当者にいくら社長が「これからは大丈夫!」「何とかして黒字化する」といった事業見通しの熱弁をふるっても、今後の黒字化計画を描いた事業計画を作成しても、基本的に金融機関の融資判断は担保保証を含め決算書が全てです。
 
 金融機関の融資判断において、企業が提出する決算書の内、直近決算(※)の損益計算書で、まずは単年度でしっかりと利益が出ているかどうかが大切です。来期から黒字が見込める合理的な理由があれば別ですが、単年度で利益が出ていなければ、金融機関は「そもそもこの会社は大丈夫か?」という素朴な疑問が生じます。利益が出ておらず経営が上手でない会社に追加融資をしても、毎月いくら返済するという約定返済どころか不良債権が増えるだけ、と金融機関は判断します。
 
 (※)決算が3月の会社であれば今年3月の決算
 
■経常利益段階で黒字であることが大切
 会社の最終損益とも言われる経常利益段階での赤字は問題ですが、営業利益段階での赤字はもっと深刻です。営業利益段階での赤字というのは、売上以上に仕入原価や諸経費がかかっているということですので、儲かる仕組みがない、と判断されるからです。
 
 経常利益が黒字でないと円滑な融資を受けることが難しい、ということを多くの経営者がご存じなので、過大な税金を納めるような粉飾決算をしてまで黒字化する企業が後を絶たないのは皆さんご存じの通りです。

 
 
■業績が良くない会社の特徴
 業績が良くない会社でよくあるのが、いわゆる「ドンブリ勘定」です。商品別やサービス別の原価を正確に把握していないので、なんとなく儲かっていてとりあえず資金繰りは続いている、あるいはなんとなく儲かっておらず資金繰りが厳しくなってきている、という感覚で経営を続けています。このような経営は年商数百万円や数千万円の中小零細企業だけでなく年商数十億円のそれなり規模の会社でも意外によくあります。このような企業では、まずは原価管理の仕組みを形作ることが大切です。

■先々の融資につなげるための経営努力を!
 今は業績が厳しくても、原価管理の仕組みを段階的にでも作ろうとしている会社を金融機関は高く評価し、先々の融資につながります。
 
 金融機関は多角的な視点で融資先業を審査し、融資判断していることを理解し、金融機関が貸したい企業となるために、まずは「ちゃんと利益を出す」ということを目標に、経営努力をしましょう。

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