現代を生き抜くためのノウハウ満載!中小企業IT活用実践手法:第4回 経営戦略を中核にしたIT戦略策定方法

2011年3月8日 16:04

■中小企業のIT導入の阻害要因とは?

 IT導入が中小企業で進まない阻害要因として「自社にITの専門家が居ない」「IT投資と効果が明確にみえない」「ITを従業員が使いこなせない」などの課題があります。この中で、実は最も深刻な課題は「IT投資と効果が明確にみえない」です。つまり、ITの利用・活用により経営力を向上させたいと考える経営者は実は非常に多いといわれる中、どのように戦略的なIT投資をおこなえば良いかを悩む経営者の方々が非常に多いということです。

 そこで、今回は経営戦略を中核にした投資効果を明確にさせるためのIT化導入サイクルを紹介し、経営戦略を中核にしたIT戦略策定方法と題して紹介していきます。まず、次に紹介する投資対効果を明確化するためのIT化サイクルの4象限を参考に自社がどのポジションかを明確にします。IT化サイクルとは大きく2つの戦略的投資方法に分けることができます。

 一つは、効率的(コスト削減効果・生産性向上等のある)なIT化=社内向け守りのIT化です。もう一つは、効果的(売上・利益向上等のある)なIT化=社外向け攻めのIT化となります。

 高度成長期の時代は、効率化を目指した守りのIT化も重視されましたが、昨今の経済環境悪化の時代は、効果的な攻めのIT化を求める企業が大半となってきました。つまり、投資と効果を考えた際、売上・利益向上、または新規顧客の獲得に向けての攻めのIT化を求める傾向が強いといえます。

■投資対効果を明確化するためのIT化サイクルの4象限

 2つの戦略的投資方法の次に、投資対効果を明確化するためのIT化サイクルの4象限を紹介いたします。

①第1象限は従前からの効率化アップのための手作業機械化による(基幹系システム)の財務・会計システム、人事・給与システム、メールシステムなどでこれはいわゆる、守りのIT化です。

②第2象限は、効果アップのためのITならではの仕事(情報系・技術系)の発注・仕入・在庫管理システム、公定管理システム、図面管理、原価管理などでこれも第1象限同様守りIT化に該当します。 

③第3象限はマーケティング・営業系の価値シェアアップによる(客数・売上数量UP)のホームページ、ビジネスブログ、電子商取引(Eコマース)、グループウェアシステムなどでこれは攻めのIT化です。

④第4象限は顧客・サービス系の顧客シェアアップのための(顧客囲い込み)の販売管理システム、顧客管理システム、営業支援システム、POSやデータウェアハウスなどで、これも第3象限同様攻めのIT化に該当します。

 次に、前回の記事で紹介した自社と取り巻く外部環境の機会に対して自社の強みを最大限に活かす事業の実行行計画の骨子をもとにIT導入と活用方法も同時に検討します。そして、今、説明したIT化サイクルの4象限の中で、最も対応しなければならないITサイクルの中の一つの象限を検討します。

 このIT化サイクルはどの象限からスタートしても必ず中長期の視点で経営戦略から導き出した実行行計画の骨子を計画し、その後、実行に移すことが重要です。また、SaaSの利用・活用によりIT化の阻害要因を解決する計画を同時に検討するのがよいでしょう。

 では、次回は『IT導入時の投資対効果策定の考え方』にについてお話していきましょう。是非、お楽しみに!!

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