英語公用語化について、再び
2011年3月3日 16:48
■英語の社内公用語化について、日経新聞が・・・
前回、英語の公用化について日本人が持つ「恥」の文化と絡めて、むしろ会社が奨励したほうが助かるのでは、という趣旨のことを述べた(該当記事)。
偶然だが、その数日後に日本経済新聞の電子版で読者アンケートがあった。“「英語の社内公用語」 反対54%、30代は賛成が57%”というものだ。(日本経済新聞電子版2月24日)
この数字をどう解釈するか。私は、30代の賛成57%に希望をみた。正直言って、まだまだ数字が過半数に達するとは思わなかったからだ。それが半数を十分に超えた人々が賛成しているとは、まだ捨てたもんじゃない。
私の周りの海外赴任者や、国内勤務でも英語が必要な部署に移動になった方々の話を聞いても、英語なんて道具だと割り切れば数ヵ月で「なんとかなる」。前回述べたように、問題なのは「イイタイコト」なのだ。
その意味で残念なのは、読者だけでなく反対派の代表として鳥飼玖美子氏が「優秀な人材を失う」と主張していることだ。こうした「優秀な人材」であるほど、「やらなきゃいけない」状態になるとなんとかなっている。別に流暢な英語でなくとも構わない。
反対する方にはそれなりの理由があるだろう。だが、シンガポールやアジアの国々で、自分の母国語ではない英語を、道具として使ってビジネスを作りだしている人々がいる。彼らのバイタリティをみていると、私達がゆでガエルにしか見えない。
■流暢な英語なんていらない
実は私の知人が、スカイプと呼ばれるインターネット上の無料電話システム(本当に簡単、私も愛用している)を使って、フィリピン人を先生にして英語レッスンをしている。料金は、30分で200円もしないという。
フィリピン人が英語の先生?発音は?などと言う方は、そもそも持たれている思いこみを捨てることから始めてほしい。フィリピンの公用語は英語だ。もちろんタガログ語という言葉も等しく国語として使われている。以前はスペインの植民地であったからスペイン語が必須であった。
私も驚いて、思わず「え?そんな安いの?」と確認してみたがもちろん本当であった。スカイプという仕組を使い、そして新興国として経済発展も目覚ましいが、ままだまだ残る日本との収入上の格差により、しっかりした教育を受けたフィリピン人の先生が喜んで、ちゃんと教えてくれていると言っていた。
英語をやるなら、アメリカとかイギリスという思いこみから捨てよう。例えば、アジアでビジネスをするときの英語は、アジアの英語だ。道具としての英語はすでに骨子としては世界で共通だが、発音や言い回しなど含めて第二言語として使っている人々の国のフレーバーが入っている。
訛りのひどい英語は英語ではないのか?違うだろう。仕事で私が合うインド人や、中国人、マレーシア人達は文法や正しい言葉遣いなど気をつかうより、イイタイコトにのみ意識を集中している。
道具としての英語を学ぶためには、数=時間を使うことが必要だ。だが街の英語学校は安くなったとはいえまだまだ毎日通うには費用を出せないだろう。そんな中でインターネット技術のおかげで、1時間話しても文字通りタバコひと箱しかかからない金額で、「本物」の英語に触れることができる。これはチャンスなのだ。
■本当にガラパゴスになる!
やる気があれば、英語だけでなく世界中の一流大学の講義内容まで公開される時代だ。費用は出せないが、学ぶ意思があってインターネットがつながる場所にいるような若者たちはものすごく貪欲に知識やスキルをネットから獲得している。その気になれば、ザックザックと宝の山を掘り放題なのだ。
その一方で私達はと言えば、相変わらず大学の名前にこだわり、英語と言えば流暢でなければいけないと思っている。思いこみを捨てよう。今世界で何が起こっているか、生の声を聞こう。自分から情報を取りに行こう。それから考えて、自分の主張を発信しよう。
そうしないと、本当にガラパゴスだ。私は日々の仕事の中で接する海外の人々からこれでもかという程、日本の新聞やテレビとは「違う」ことを聞いている。ヨーロッパも、アメリカも、アジアも、日本への心配を通り越して、もう「当てにしなく」なっている実態を、もっと多くの日本人が知るべきだと強く感じている。