トーソーの大槻保人社長に現況と展望を聞く
2011年3月3日 13:20
■圧倒的シェアのカーテンレール武器に『総合ウインドウトリートメント企業』として躍進
トーソー <5956> の大槻保人社長に現況と展望を聞く
今でこそ一般的スタイルとなっているドレープとレースのカーテン2重吊は、もともとは同社の提案によって普及した。60年以上にわたり「カーテンレール」の国内トップメーカーとして、人々の住宅空間づくりに貢献してきた。最近では省エネ観点から窓周辺の断熱に対するニーズが高く、同社では断熱性向上に寄与するブラインド類、複層ガラス、オーニング等の開発に取り組んでいる。今後も「総合ウインドウトリートメント企業」として積極経営を展開する。大槻保人社長に現況と展望を聞いた。
■5000万戸を超える住宅ストックをターゲットにリフォーム分野に注力
――御社の事業は、やはり、住宅との関わりが深いということでしょうか。
【大槻社長】 そうですね。売上のほとんどがカーテンレールやブラインドなどの窓周り製品なので、新設住宅の好不調の影響を強く受けます。近年は建築の構造設計偽装問題やリーマンショックなどの影響で2009年度の国内新設住宅着工戸数は80万戸を下回る水準に大きく減少しました。ただし、10年からは大きく落ち込んだマンションも回復基調に転じ、当社の事業環境も好転しています。ただ、日本は人口が減少の方向ですから国内の新設住宅は基調的には大きくは期待できないと思います。100万戸台への回復を期待することは難しいと思います。
――どのような取り組みで臨まれますか。
【大槻社長】 当社は、1949年に東京装備工業として設立以来、60年以上にわたり、カーテンレールメーカーとして国内シェアナンバーワンを守り続けています。今後も、「卓越したデザイン力」、「安心して使っていただける品質」の追求にいっそう取り組み、カーテンレール、ブラインド、間仕切りなどを含む、「総合ウインドウトリートメント企業」として磨きをかけていきます。新設住宅分野だけでなく、日本には5000万戸を超える住宅のストックがありますので、リフォーム分野にも力を入れていきます。とくに、最近は省エネに対する関心が高く、政府も外気温を遮断して断熱効果を高める二重窓などに対してエコポイント制度を導入するなどの支援を進めています。当社も窓周辺の断熱性向上に寄与するブラインド類や複層ガラス、オーニング等の開発に取組んでいきます。さらに、海外での展開にもいっそう取組み、介護関連分野など非住宅分野にも力を入れていきます。
■業界関係者向けの新製品展示会を毎年1回、全国約30ヵ所で開催
――カーテンレールではトップということですが、シェアはどのくらいですか。また、カーテンレールの種類はどのていどありますか。
【大槻社長】 シェアは50%程度です。先ほど、お話しましたようにカーテンレールは当社の会社設立以来の主力製品です。日本が経済の発展とともにヨーロッパ並みの望ましい住宅空間を作ろうという住宅政策のもとに住宅公団が発足した頃から手がけています。ドレープとレースの2重吊りという今では一般的なスタイルも当社の提案により普及しました。従来は主役のカーテンに対して、カーテンレールは脇役的でしたが、最近ではカーテンレール自体のデザイン性が向上し、素材も金属製のほかに木製なども加えて、装飾品としての存在感が高まっています。このため、カーテンレールは基本的な種類だけでも50種類以上はあります。インターネットでご覧いただけますし、カーテンショップやホームセンターなどでは実際に風合いなどを見比べていただけます。このほかにも、業界関係者向けの新製品展示会を毎年1回、全国約30ヵ所で開催しています。
――海外展開についてはいかがでしょうか。
【大槻社長】 海外販売のスタートは1980年頃からで、けっこう古くからやっています。中国では2002年に中国に「東装窓飾(上海)有限公司」を設立し、今年で9年目になります。同社では、カーテンレール、ブライド類をはじめ、トーソーが日本で培ってきた品質、デザイン、技術を用いた窓周り製品を中国市場の様々な施設に提供しています。インドでも代理店契約による販売を始めて5年目です。また、インドネシアの子会社はプレス加工や樹脂成型などの多様な生産技術を持ち、「ISO9001」を取得するなど日本の品質基準に対応した物づくりを行っており、当社の重要な海外生産拠点となっています。今後は、欧州など海外の展開によりいっそう力を入れていきます。
――海外比率はどの程度ですか。
【大槻社長】 現在はまだ2~3%と低い状況です。2015年には10%台とすることが目標です。
■投下資本利益率を重視し収益力の向上に取組む
――今3月期についてお願いします。
【大槻社長】 先ごろ、2月10日に今3月期の業績予想修正を発表しました。従来予想に対し、売上を15億円増額して202億円(10年3月期184億2900万円)、営業利益も2億円増額の8億円(同2億4200万円)、純益で1億5000万円増額の5億円(同1億7800万円)としました。これらは、新設住宅戸数の回復とデザイン性の高いカーテンレールや需要創造型のブラインド類の新製品投入効果などによるものです。予想1株利益は45.1円(前期15.2円)、配当は年6円継続の予定です。今後も「創意工夫」を掲げ独創的な物づくりと高品質により競争力をよりいっそう高めていきます。新設住宅に多くを期待できないため固定費の圧縮に努め、投下資本利益率を重視し、収益力の向上に取組んでまいります。
――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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