日立、食品物流のSaaS型倉庫管理システムの提供開始

2011年3月3日 11:00

 近年、「食の安全」への消費者の関心が高まる中、食品の物流においては、トレーサビリティシステムなどによる物流品質の高度化への対応が重要になりつつあるという。一方、食品物流の担い手である冷蔵倉庫など低温物流業界においては、中小規模の企業が比較的多く、自社でITを所有し、維持・運用するためのコストや人的リソースを抱えることは、大きな経営上の負担となるため、入出庫や在庫に関わる情報などを管理する、安価で高品質な倉庫管理システムが求められている。

 このような背景のもと、日立製作所はこのたび、冷蔵倉庫および食品物流センターなどで必要となる管理機能を備え、約100拠点の倉庫での利用ノウハウを結集したSaaS(必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくは提供形態)型倉庫管理システム「Sherpa (シェルパ)/倉庫管理クラウドソリューション」のサービス申込み受付を3月3日から開始し、4月25日からサービス提供を開始する。

 「Sherpa (シェルパ)/倉庫管理クラウドソリューション」とは、低温物流業界最大手のニチレイロジグループが蓄積してきた、在庫管理や保管料計算など冷蔵倉庫管理における業務ノウハウを結集した業務用ソフトウェアをSaaS型で提供するシステム。約4万2,000社が利用する日立のITノウハウを生かしたクラウドSaaS「TWX-21」上でサービス提供することにより、セキュリティ、信頼性の確保とともに利用企業のシステム保守・運用業務を削減する。導入に要する期間が最短1か月。また、複数の業務グループ(サブシステム群)から必要なものだけ選択できるようにしただけでなく、倉庫の設備能力に応じた課金体系にすることで、中小規模の企業にとっても利用しやすいサービス体系となっているという。

 また、2010年8月23日には、独立系ITソリューションプロバイダの日本システムウエアが、短期間で効率的な物流業務を実現する入出庫在庫管理システム「ORBIS(オービス)」シリーズの最新バージョン「ORBIS-ファイブ倉庫管理」において、このたびSaaS型での提供を開始。「ORBIS-ファイブ倉庫管理for SaaS」は、従来の導入構築型と比較して安価かつ容易なシステムの利用が可能となり、中小規模の物流関連企業における物流品質の向上を実現する。

 今後も業者間の競争激化により一層のコスト削減が求められ、さらに荷主からのサービス要求水準も高まっていくことが考えられる物流業界。倉庫や物流センターにおける一連の業務を効率化するためのより優れた総合管理システムの構築は欠かせない。

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