ブランド見聞録 ブランドはマーケットを勝ち抜く経営ツールです:第1回 ブランドは、心の中でつくられる

2011年3月2日 13:23

 今月から、ブランド・マーケティングに関してのコラムを執筆させていただく町田です。いきなり私ごとで申し訳ございませんが、昨年末のしとしとと雨の降る夜、こともあろうにバリアフリーのスロープで思いっきり転倒。その結果、私は左足首を骨折して手術を受け、未だに松葉杖のお世話になっております。

■ブランドの大切さを改めて痛感する

 さて、その時の救急車内でのお話です。足首周辺が2倍くらい腫れ上がり「痛い!痛い!」と連発する私の症状を診て、救急隊員が搬送先の候補として3つの病院名を告げました。まずA病院は転倒した場所からは近いのですが、自宅からは遠いので、消去。残るはB病院とC病院。自宅にはB病院が圧倒的に近いのですが、私はC病院を選びました。理由は近所の飲食店などで「B病院に入ると生きて出られない」という噂を嫌というほど聞かされていたからです。
 
 さらに、私はC病院が古くて小さいということを知っていたので、過去に2度入院したことのあるC病院と線路を隔てた場所にある綺麗なD病院には入れないのかと救急隊員に聞いたのですが、「あそこは満床なのでダメ」という、冷たい言葉が返ってきたのでした。実はこの話、ブランドの正体をわかりやすく語ってもいるのです。
 

■ブランドは顧客との信頼関係の上に成り立っている

 ブランドの正体は、簡単に言えば顧客との信頼関係です。そして、その関係を構築していくのが、顧客の経験と情報。例えば、初めて訪れたレストランが想像以上に美味しかったり、良い接客を受けると、それが強く脳裏に情報として残り、「また行きたい」「誰かに教えたい」というようになります。逆に1度も行ったことがないレストランなのに、友人やメディアなどからの情報によって「あの店に美味しいものを食べに行きたい」と思ってしまう。
 
 もう1つ例を挙げれば、同じ性能の製品(OEM製品など)でもブランド名が異なるだけで、人気や価格も違ってしまうことがあります。それは、居酒屋でビールのお代わりを、愛想が悪い店員より、愛想の良い好みのタイプの店員に頼むのと同じ心理です。
 
 これが「製品は工場でつくられ、ブランドは心の中でつくられる」と言われる所以であります。では、どうやって心の中に強いブランドをつくっていくのか…。その答えについては、次回以降のコラムで、時に最近のブランド事情なども交えながら、述べていこうと思います。

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