医薬品の郵送販売 注目される政治的判断

2011年2月28日 11:00

 インターネットによる販売を含め一般用医薬品の郵送販売は原則、第3類医薬品以外は禁止されている。今年5月末まで経過措置として離島など一部地域では第2類医薬品も郵送販売が認められてきたが、現行のままだと6月からは認められないことになる。

 こうした経過措置の期限切れを前に、政府の行政刷新会議は「インターネット、電話等による販売が店舗販売に劣後するというデータはない」などとして販売履歴の管理、購入量の制限など、一定の安全性を確保しながらインターネット等で医薬品を販売するためのルールを5月までに制定することにより、郵送での販売規制を緩和する方針を打ち出し、3月末の閣議決定にむけて動いている。

 これに対し、日本薬剤師会と全国薬害被害者団体連絡協議会は規制緩和反対の署名活動を全国展開し、閣議に図られるまでに菅直人総理と細川律夫厚生労働大臣あてに署名を提出したい意向。

 署名趣意書には「改正薬事法の基本的理念は専門家による実効性のある情報提供と相談対応によって、一般用医薬品の適切で安全な使用を実現しようとする点にある。規制に反対するインターネット販売業者等は高齢者や障害者、離島居住者などの利便性が損なわれると主張するが、これらの方々に対してこそ、専門家の指導による適切な医薬品の使用が強く求められる」と訴えている。

 どちらの主張にも一理ある。利害も絡み、現行の規制が行われた2009年6月直前の綱引きを再現している感もある。

 現行制度の規制では経過措置として現行制度スタート前から漢方薬や伝統薬、第2類医薬品を郵送で購入し、服用していた人については同じ医薬品を引き続き購入する場合に限り、また薬局、薬店がない離島などの在住者についても規制の対象外とされ、今日まできているいきさつがある。

 経過措置の延長という手立てもあるが、最終的にどのような行政判断が消費者にとってプラスになるのか。医薬品流通に対する政治的判断が注目される。

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