海江田経産大臣、中東情勢の激変で「原油高騰」に懸念

2011年2月25日 12:46

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

★返す刀で日銀の「出口戦略」をチクリ

  中東で不安定な情勢が続いているが、原油の値段への影響、そして日本経済への影響について、担当省庁である経済産業省はどう考えているのか。海江田万里大臣は18日の閣議後の定例記者会見で次のように語った。

  中東の民主化の嵐、あるいは火種というか、まさに燎原の火のように燃え広がっているわけですが、特にこの数日また一段と燃え広がりましたので、WTIの原油価格は1ドルちょっと上がってきています。まだ主な産油国のサウジアラビアとかクウェートの両国は平穏ですが、これらの国に飛び火しないように、しっかりと注視をしているということです。

  原油の値段ばかりでなく穀物、食料、農産物、こういうものの価格が上がるということになると、いま日本はデフレで物価全体がマイナスになっていますが、原油というのは産業の米でありますから、少しずつ物価が上がっていくことになるかと思います。

  ただ、景気が拡大をして経済の活動が全体的に活発になって物価が上がっていく、そして金利が上がっていくと、消費が拡大をしていくというサイクルとちょっと違うサイクルですから、私はその意味では物価が上がることはいいのだけれども、健全な物価の上昇でなければいけないと思っていまして、そうでない今回のような形での物価の上昇、まだそこまで至っていませんけれども、将来的に物価の上昇、そして例えば日本銀行がいまの金融の緩和、これを出口のことを言い出すとかということになると、これは大きな打撃を受けることに日本経済がなろうかと思っています。だから、ここはやはりその意味から言うと、今回の原油価格が上がる、それから食料品などが上がるというような形での物価上昇、金利上昇というのは日本の経済にとって好ましくないと思っています。

  情勢の先行きに関しては、中東の民主化というのは、私は避けられない流れだろうと思いますから、中東の民主化というのは支持をする立場ですが、それが平和裏にと申しますか、行われて、安定的な政権が生まれて、そして特に原油の供給については、安定化するということが大切だろうと思っています。そして、物価の上昇というのはあくまでも経済が全般に活性化をして、そして金利もふえて、消費もふえて、その中で物価が上がってデフレを克服していくというのがあるべき姿だろうと思いますから、そこへ向けて政府も努力をしていくということになろうかと思います。

  海江田大臣、「中東情勢の激変が原油高騰に波及し、それが日本国内の物価を押し上げることになるが、経済成長サイクルに乗った物価上昇でない限り、健全ではない」と述べたまではいいのだが、勢い余って、かねてからの持論である「日銀批判」が飛び出すことになった。「いま軽々に『出口戦略』を持ち出すと、日本経済は大打撃を受ける」と。これには、記者からさらに質問が飛んだ。「日銀が緩和の出口についてと言及しましたが、要は日銀の景気判断が、若干上向いているというような判断に変わりつつあるというのは、それは早まった見方という認識ですか」と。それに対しての大臣の答えは次の通り。

  景気判断はいいのです。私はそのとおりだろうと思います。明るい兆しも出ています。私も前に経済財政の担当をしていましたから、この10月、12月というのは大変マイナス幅が大きいだろうと思ったら、それがマイナス11で上がって、結果的に2010年、3.9%、実質ですけれども、伸び率を記録したということで、そういう意味では明るさが見えていることは確かです。

  ただ、健全な物価上昇と、健全でないと言ったら余りいい表現でありませんけれども、人間の体に例えると、不健康な血圧の上昇みたいなものもあるわけです。突発的なというか、外部要因によるとか、そういうものに引きずられて出口戦略について、もし言うとすれば、それは違いますよということです。つまり、いまの景気がどういう状況にあるのかということを正しく見てもらいたいということです。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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