現代を生き抜くためのノウハウ満載!中小企業IT活用実践手法 :第2回 経営環境変化に対応するためのIT時代の潮流
2011年2月15日 17:43
■決して弱者ではない中小企業!ではどのようにすれば経営力が向上する?
中小企業は大企業と比べ主に規模の面から弱者と考えられがちですが、機動性や特殊な技術ノウハウを持ち、時には大企業の集団的な組織力を超える、熟練工や職人による神業的な技術や技能の専門性を持ち合わせています。
つまり、決して弱者なのではなく、たとえば独自の技術力を活かした多品種超微量生産などにより、顧客のニーズに対してきめ細やかな対応力と独創性で差別化を発揮する強みがある存在といえるでしょう。
しかし、国内需要の成熟化、グローバル化、情報化社会においては自社の経営資源のヒト、モノ、カネだけでは経営課題が容易に解決できなくなっています。
そして、経営課題の解決策の遅れは前回紹介しました経営者の「直面している経営上の問題やお困りの点」の1位「同業者との競争激化」や、2位「販売価格の低下・上昇難」、3位「需要の低迷」、4位「従業員の確保難」、5位「原材料の不足・価格の上昇」への対策の遅れにつながり、たとえ儲けがあっても利益無しの状態が続くと次第に経営の健全性を破壊する可能性があります。
それらを解決するために、すでにITを戦略的、且つ、積極的に利用・活用する企業とそうでない企業で、大きく経営力の差が開いてきているのも事実です。
■中小企業の経営力の格差に繋がるIT!ではどのような最近の潮流があるの?
中小企業のIT化が進まない阻害要因として「自社にITの専門家が居ない」「IT投資と効果が明確にみえない」「ITを従業員が使いこなせない」などの課題も多く、ITを経営に活かすことが重要と理解しながらも、なかなか手がだせない企業が多いと言われています。
そこで注目したいのが近年注目を集めるようになったクラウドコンピューティングという概念です。クラウドコンピューティングについては今後、更に詳細にご説明していきますが、今回は、クラウドコンピューティングの一形態といえるSaaS(サース)というITサービスを紹介します。
従来のIT化は企業毎に、ITベンダーからパッケージ購入や開発に関わる費用、ハードウェア、ネットワーク機器、ソフトウェア(OSやミドルウェア)セキュリティツールなどのIT資産を“所有”し、保守運用費用を支払っていました。
しかし、SaaSではそのような初期投資に関わる費用の初期投資を抑え、水道料やガス料金のように毎月固定額の利用料金を払いITサービスを“使う”ことができます。
このSaaSの登場により中小企業のIT化の阻害要因を取り除き、経営課題を解決することで経営力強化につながるIT化の敷居が低くなりました。
今回は“使う”IT時代の潮流について触れてみました。ただしSaaSのようなサービスが登場しても、ITはあくまでも経営力強化のための道具でしかありません。
このようなツール(道具)を上手く活用していくのには経営戦略的な側面から一度きちんと考える必要があります。
次回は『IT化を失敗させないため経営戦略策定方法』についてお話していきます。是非、お楽しみに!!