火星長期閉鎖実験「マーズ500」、仮想の火星到着

2011年2月4日 10:30

 Mars500

 欧州宇宙局(ESA)とロシア生物医学問題研究所(IMBP)は2月2日、IMBPの施設で行われている火星長期閉鎖実験「マーズ500(MARS-500)」がシミュレーション上、火星に到着したと発表した。

 発表によると、約244日間の飛行を経て、仮想の宇宙船は2月1日に火星周回軌道に投入された。3人のクルーを乗せた火星着陸船は2月8日にハッチを閉め、2月12日に火星着陸を行い、その後、火星での有人探査ミッションのシミュレーションを実施する予定だという。

 「マーズ500は単にシミュレーションにしか過ぎませんが、私たちは本当のミッションと同じように働いています」

 ESAの有人宇宙開発責任者であるシモネッタ・ディ・ ピッポ( Simonetta Di Pippo)氏はこのように述べた。

 「マーズ500」は合計520日間(約1年半)にも及ぶ有人火星探査ミッションのシミュレーションとなる本格的な長期閉鎖実験で、最初の250日間は火星までの飛行、その後の30日間は火星での滞在、そして、残りの240日間は地球への帰還に設定されている。

 モスクワの研究所内に設置された180平方メートルの閉鎖施設の中で、地球と火星間の距離を考慮した通信時のタイムラグなど、無重力と放射線を除いて、有人火星探査とほとんど同じ環境が再現されている。ロシア人3人、フランス、イタリア、中国から各1人の計6名のクルーが参加し、実験は2010年6月3日に始まっている。

 火星長期閉鎖実験「マーズ500」は元々IMBPを中心に進められていたが、ESAと中国が参加を表明し、2009年4月1日から2009年7月14日まで、最初の長期滞在となる計105日間のトライアルが行われ、ロシアとヨーロッパから計6名のクルーが参加した。

 ■Mars500 ‘arrives’ in orbit around Mars
http://www.esa.int/export/esaCP/SEMWYEY1LJG_index_0.html

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