ホヤはアナログ、脊椎動物はデジタル (筋肉細胞の動かし方が)

2011年1月27日 10:30

 アナクロ人間 曰く、

  大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻西田研究室の西野助教らの研究グループが、無脊椎動物のホヤの幼生が脊椎動物のオタマジャクシのように体をくねらせて泳ぐ仕組みを解明した。研究成果は米科学アカデミー紀要 (PNAS) に掲載されている (時事ドットコムの記事asahi.com の記事MSN 産経ニュースの記事doi: 10.1073/pnas.1013547108より) 。

 ホヤ (カタユウレイボヤ) の成体は岩礁にはりついているが、幼生は筋肉細胞が 36 個、運動神経細胞は 10 個程度しかないにもかかわらず、生後 6、7 時間の間オタマジャクシのように泳ぎ回る。ホヤは進化系統の上で、脊椎動物に最も近い無脊椎動物であり、生物進化のモデル動物として盛んに研究されているそうだ。研究グループは、筋肉細胞を収縮させるカルシウムをどう取り込むのかを調査した。脊椎動物では、神経伝達物質の信号を受け取ると個々の筋肉細胞は収縮の度合いを調節できず、数百万個もの筋肉細胞が一定の強さで収縮する。その一方で、ホヤの幼生は 36 個の筋肉細胞が細胞膜の穴を使って体液中のカルシウムを取り込む量を調節し、収縮の強弱を微妙に変えることで体をくねらせて泳いでいることが判明した。

 西野助教は「ホヤの筋肉の動かし方は、いわばアナログ方式。進化の過程でデジタル方式の脊椎動物にどう変化したのか興味深い」と話しているという。

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