「100 億分の 1 秒間だけ現れる新しい物質構造」が検出される
2011年1月21日 11:30
ある Anonymous Coward 曰く、
東京工業大学の腰原伸也教授らが、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) にある放射光科学研究施設 (PF-AR) のパルス X 線を用い、「100 億分の 1 秒の間だけ出現する過渡的な新しい物質の構造」を検出することに世界で初めて成功した (KEK のプレスリリース、マイコミジャーナルの記事、doi: 10.1038/nmat2929) 。
「ペロブスカイト型マンガン酸化物」という、低温では絶縁体相、高温では強磁性金属相を示す物質がある。低温条件下の絶縁体相は磁場、圧力、光などの外的作用により金属相へ瞬間的に相転移を起こすのだが、今回はこの相転移時の「動的な結晶構造」を検出できた、という話とのこと。強力な短パルスの X 線を使用し、さらに 80 nm という非常に薄い結晶を作製することで検出に成功したそうだ。
観測された構造は図 1 右下に示すように、従来の予測 (左上側) とは全く異なっており、結晶中で光励起前 (左下側) とも異なる新たな軌道秩序状態が生じていることがわかりました。これは光励起で生み出される「動的構造」に基づく新しい物質相が、「静的で安定な構造」に基づく従来の物質科学の考え方からは全く予想外の新しい秩序をもったものであることを示しています。また、これは温度による相転移では到達することのできない「隠れた物質相」を、光によって実現可能であることを実証しています。
とのことで、超高速な光現象のメカニズムを動画として観測できた点が画期的、ということだそうな。
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