日銀は四半期毎にまとめる「地域経済報告」を公表

2011年1月21日 14:05

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

★全国9地域のうち7地域で「景気判断を引き下げ」

  日銀は17日、全国支店長会議を開き、四半期毎にまとめる「地域経済報告」(通称・さくらリポート)を発表した。それによれば、全国9地域のうち7地域が景気判断を下げたが、その概要は次の通り。

  最近の景気情勢については、基調として「緩やかな回復」、「持ち直し」と判断する地域が多いものの、7地域(北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国)が、このところ「改善の動きに一服感がみられる」あるいは「足踏み状態となっている」等と報告するなど、前回(10年10月時点)との比較では、改善ペースの一服感を指摘する地域が広がった。こうした変化の背景としては、情報関連財における在庫調整や海外経済の減速等を背景とした輸出の弱まり、一部の耐久消費財における駆け込み需要の反動減、これらを主因とする生産活動の弱まりを指摘する地域が広がったことが挙げられる。

  だが一方、各支店からの報告では「踊り場脱却」に向けて、自動車の生産・販売増やスマートフォンの伸びなど、前向きな動きも見られると言う。この会議で白川総裁は冒頭のあいさつで、「先行きは緩やかに回復する道筋に戻っていく」との認識を示したが、発言「要旨」は次の通り。

 (1) 世界経済は、減速しつつも回復を続けている。国際金融市場をみると、欧州では、ソブリンリスクを懸念する動きなどから不安定な状況が続いているが、全体としてみれば安定を保っている。

 (2) わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる。輸出は、横ばい圏内で推移している。企業収益は、改善ペースに一服感がみられるが、増勢を維持しており、そうしたもとで、設備投資は持ち直しつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。個人消費は、一部の財に駆け込み需要の反動がみられる。こうした内外需要の動きを反映して、生産はこのところやや減少しており、企業の業況感も、最近は、製造業を中心に弱めとなっている。

 (3) 先行きについては、わが国経済は、景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、世界経済の成長率が、新興国・資源国に牽引される形で高まっていくもとで、緩やかな回復経路に復していくとみられる。

 (4) 物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、マクロ的な需給バランスが緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。先行きは、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、引き続き、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。

 (5) わが国の金融環境は、企業の資金調達コストが低下傾向にあるほか、金融機関の貸出態度が改善するなど、緩和方向の動きが強まっている。わが国金融システムは、全体として安定性を維持している。金融機関の上期決算は、債券売却益の増加や信用コストの減少を背景に、良好なものとなった。もっとも、貸出残高の減少や利ざやの縮小から、基礎的な収益力は低下傾向が続いている。こうした中、信用リスクや金利リスクの状況をはじめ、金融システムの動向については、引き続き注意深くみていく必要がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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