ESA、プランク衛星の科学データを初めて公開

2011年1月12日 12:00

 欧州宇宙機関(ESA)は1月11日、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)観測衛星「プランク」の観測結果を初めて公開した。

 プランク衛星は2009年5月14日に打ち上げられ、2009年7月3日に観測軌道であるラグランジュ点のL2に投入された後、2009年8月13日から本格的な観測を開始し、昨年7月には銀河系の全天画像を初めて公開した。

 今回発表された観測結果には新たに発見された遠方の銀河団や赤外線源が含まれており、詳細についてはパリで開かれる主要な科学会議で発表される。また、観測結果に基づいた25もの論文がヨーロッパ天文専門誌「アストロノミー& アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)」に掲載される予定となっている。

 「これはプランクにとって素晴らしいことです。これまでデータを集め続け、私たちはついに研究を始めることができます」

 今回の発表について、同プロジェクトの科学者ジャン・タウバー(Jan Tauber)氏はこのように述べた。

 プランク衛星は米航空宇宙局(NASA)の「COBE」と「WMAP」に次ぐ、3機目の宇宙マイクロ波背景放射観測衛星で、重さ約1900kg。大きさ1.5mの主鏡と2種類の高感度検出器を搭載し、マイナス253度以下という極低温状態を保ち、太陽光を遮光でき、観測に適したL2で非常に高い分解能で宇宙マイクロ波背景放射を観測する。

 宇宙空間からはマイクロ波を始め、赤外線、X線など、様々な周波数の電磁波がほぼ均等に観測され、これらは総括して宇宙背景放射現象と呼ばれ、そのうちマイクロ波の放射はCMB(Cosmic Microwave Background)と呼ばれている。CMBは宇宙が誕生したビッグバンの名残として知られており、ビッグバン理論の最も良い証拠であるとも言われている。

 なお、プランク衛星による全天観測は2012年まで続けられる予定となっている。

 ■Planck’s new view of the cosmic theatre
http://www.esa.int/export/esaCP/SEMK4D3SNIG_index_0.html

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