金星探査機「あかつき」、金星周回軌道投入失敗

2010年12月8日 13:30

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月8日、金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の金星周回軌道投入に失敗したことを発表した。

 JAXAによると、「あかつき」は日本時間12月7日8時49分に金星周回軌道投入マヌーバ(VOI-1)を実施したが、一時通信が途絶えた。その後、米航空宇宙局(NASA)のジェット研究推進所(JPL)などの協力を得て、通信を回復させたが、軌道を分析した結果、金星周回軌道への投入ができなかったことを確認したという。

 軌道投入失敗の原因について、「あかつき」の軌道制御エンジンによる噴射が足りず、十分な減速ができず、金星を通過してしまったとみられる。現段階において、「あかつき」の燃料を全て使ったとしても金星に戻ることができないが、チームによると、「あかつき」は太陽を周回する軌道に入っており、6から7年後に再び金星に接近し、軌道再投入のチャンスがあるという。

 また、「あかつき」との通信も回復しており、高利得アンテナを使っての通信も確立されている。機体の損傷も今のところ見られないが、JAXAは専用チームを設置し、失敗原因の究明と今後の対応を検討する。

 ■金星探査機「あかつき」の金星周回観測軌道投入(VOI-1)の結果について
http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101208_akatsuki_j.html

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