アドアーズは第2四半期決算説明会を開催

2010年12月3日 10:09

■8月にマカオに現地法人を設立

  アミューズメント施設運営のアドアーズ <4712> は、11月30日に東京証券取引所のアナリスト協会で今11年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

  代表取締役社長中川健男氏は、会社概要、第2四半期実績、下期計画、中期ビジョンの順で説明を始めた。

  同社の前身であるシグマ社が設立されたのは、1967年であり、以後メダルゲームのパイオニアとして業界を牽引。98年に日本証券業協会に株式を店頭登録。2000年に、シグマ社を存続会社として、テクニカルマネージメント社、環デザインの3社が合併し、社名を現在のアドアーズに変更する。06年に株式異動によりGF投資ファンド有限責任投資組合が筆頭株主となる。独立専業オペレーターとして自由度の高い経営体制を推進。サービス業に特化した人材育成や各種施設展開が可能になった。07年には中川健男氏を新社長に迎え、新生アドアーズとして再スタート。08年より積極的な出店計画を実施し、年間18店舗出店する。同年5月にネクストジャパンホールディングス(以下:ネクスト)との資本・業務提携の強化を発表。10年3月に第三者割当によるネクストへの自己株式の処分を実施し、ネクストが同社の第2位の株主となる。6月にはネクストとの共同出資により、「合同会社ラグランジュマネジメント」を設立。8月にはマカオに現地法人を設立している。

■変化する業界、顧客層、ニーズを把握したサービスの提供力を強化

  今期の事情環境は、リーマンショックによる全世界的な不況により、生活防衛意識が高まり、消費マインドは減退傾向にある。アミューズメント業界においても単価が下落し、売上が低迷している。そのような状況で、業界内では、淘汰・再編が本格化している。

  同社では、そのような厳しい状況にありながら、将来を見据え、業界の牽引者として革新をスローガンとして掲げ、「次世代アミューズメント施設の確立」、「業界全体の牽引・活性に寄与」、「ポートフォリオの確立」に取り組んでいる。

  次世代のアミューズメント施設を確立するために、変化する業界、顧客層、ニーズを把握したサービスの提供力を強化。更に、コスト削減と権限を委譲することで、組織の活性化を図っている。

  また、業界全体の牽引・活性に寄与するためには、独立系オペレーターの代表者として、これまでの常識にとらわれない改革で、業界全体を牽引して、業界の活性化を促すとしている。

  ポートフォリオを確立するためには、設計・施工事業の営業力を強化する一方で、新規事業の展開を行い、戦略的な投資を行ってゆく。

■第3の柱としての新規事業の開発と新規事業への参入も視野に

  将来を見据え、アミューズ施設事業を強化するために、アミューズメント機器用景品の企画・販売、インドアレジャー事業等を展開しているネクストとの資本・業務提携の強化を行っている。

  提携することで、両社のノウハウの交換を行い、お互いの運営力を強化すると共に、景品開発、新業態の推進等の面で合同の企画を推進している。

  更に、ポートフォリオの確立に向けた具体的な取組として、アミューズメント事業、設計・施工事業に続く第3の柱としての新規事業の開発と新規事業への参入も視野にいれている。また、国内だけでなく、今後は、海外市場にも進出するため、準備を整えている。

  新規事業の開発のため、ネクストと共同で合同会社を設立している。また、海外事業については、既に、マカオの大手カジノホテルと提携し、ホテル内に海外富裕層、旅行客をターゲットとしたアミューズメント施設を来年2月頃に開設する予定である。

■設計・施工事業で、今上期大型案件が無かったことが第2四半期の減収要因

  同社の概況説明に引き続き、第2四半期業績について語った。

  第2四半期の売上は、126億4000万円(前年同期比7.8%減)、営業利益5億7500万円(同30.1%減)、経常利益4億6800万円(同35.5%減)、純利益1億8500万円(同47.4%減)と減収・減益。

  減収要因としては、前期においては、設計・施工事業で大型特需があったが、今上期は大型案件が無かったことが挙げられる。

  減益要因は、設計・施工事業の減収による減益、また、資産除去債務の会計基準の適用により、5000万円を特損として計上、10月弊店店舗の撤退費用の前倒し計上など。

  セグメント別売上高、営業利益は、アミューズメント施設運営事業97億1600万円(同2.2%減)、5億4700万円(同2.7%減)、設計・施工事業22億2500万円(同28.5%減)、2億2800万円(同54.5%減)、レンタル事業1億3900万円(同10.2%減)、2500万円(同13.8%減)、不動産事業5億5700万円(同11.0%増)、1億2700万円(同36.6%増)。

■好調なプライズゲームとアーケードゲームのみで構成した新店を開設予定

  アミューズメント施設運営事の既存店月次売上高の対前年同月比の推移は、4月99.2%、5月96.4%、6月95.9%、7月102.3%、8月100.7%、9月97.6%。7月、8月は100%を超えている。下半期は人気機種の投入もあり、105%を目指している。

  月次の在客数を前年と比較すると、4月104.9%、5月102.6%、6月102.1%、7月108.5%、8月107.3%、9月105.2%と毎月前期を上回っている。

  ゲーム別の売上高は、メダルゲーム31億8700万円(同1億6600万円減)、パチンコ・パチスロ機12億2900万円(同7100万円減)、プライズゲーム19億4200万円(同1億5000万円増)、アーケードゲーム24億7800万円(2億8500万円減)、AM(アミューズメント)自販機(プリクラ等)3億4200万円(同4800万円増)、その他5億3800万円(同1億100万円増)。下期には新たな試みとして、好調なプライズゲームとアーケードゲームのみで構成した新店を開設予定。

■営業体制の強化だけでなく、財務体質の強化も進む

  中川健男社長は、革新をスローガンに掲げているように、ピンチをチャンスと捉える等積極的な事業運営を行っている。例えば、大手が出店を手控えていた08年に年間18店舗出店するなど業界でも注目を浴びる存在である。しかし、一方で、積極的な出店により、有利子負債が増えているが、削減に努めている。

  有利子負債の推移を見ると、10年3月期第2四半期末159億8900万円、10年3月期末142億200万円、11年3月期第2四半期末135億5000万円と減少している。今年度末までに120億円程度の着地を見込んでいる。また、現預金は78億9300万円(前年同期比14億3900万円増)であり、営業体制の強化だけでなく、財務体質の強化も進んでいる。

■通期業績予想は上半期の減収大幅減益から一転し、増収大幅増益を見込む

  下半期については、経済環境は、景気が回復基調にあっても、消費マインドの回復までは時間がかかり、ゲームの価格については、低価格でありながらも、品質の高いゲームが求められると見ている。

  通期業績予想は、売上高270億円(前期比3.7%増)、営業利益15億円(同76.8%増)、経常利益12億円(同88.2%増)、純利益4億円(同47.9%増)と上半期の減収大幅減益から一転し、増収大幅増益を見込んでいる。

  下期目標として、アミューズメント施設運営事業の既存店売上高は対前年比105%、施設・設計施工事業では、通期売上高52億円の確保を掲げている。

  また、下期の戦略としては、集客の向上、既存店の競争力強化、将来の差別化に向けてと3つの課題を取り上げている。

  集客力については、プライズ・プリクラの運営を強化することで、更に集客力のアップを図る。また、外国人向けのサービスを開発すると共に、積極的な案内も行っていく。

  既存店の競争力を強化するために、下期に集中導入する新マシンの効果の最大化を図る一方で、スクラップ&ビルドを含めた徹底したコスト削減も実行する。更に、個店毎の顧客層、地域性にあわせた肌理の細やかなサービスを行う。

  将来の差別化を実現するためには、池袋のメダルレス店舗「Project Adores」等、新しい試みにチャレンジすることで、他社にはない選ばれる店舗作りを目指す。一方で、サービス力の向上を推進するために、第4回接客コンテスト等も実施する。

  同社を取り巻く環境は厳しいが、常に一歩前を意識した経営が行われていることから、今後の事業拡大が予想される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【銘柄診断】幼児活動研究会は正課体育指導の新規契約が増加、今期は最高益へ(2010/12/03)
経営統合で注目の沢井製薬は重くキョーリンは高い(2010/12/03)
相場は欲と迷いの中で動く(相場は人の生き様を映す)=犬丸正寛の相場格言(2010/09/14)
次の一手は戻り幅、下げ幅の大きさで考えよ=犬丸正寛の相場格言(2010/09/08)
ケイ線張りは盲目張り(ダマシに気をつけろ)=犬丸正寛の相場格言(2010/09/06)

関連記事

最新記事