野田財務大臣:基礎年金の国庫負担2分の1断念!不足財源をどうするのか?
2010年12月2日 22:08
【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】
補正予算がやっと通り、政治の焦点は来年度の予算編成に移っているが、そこでの最大のテーマは社会保障関連費で、とりわけ基礎年金の国庫負担費を既定通り2分の1に据え置くかどうかがが取りざたされている。野田財務大臣はこの問題について、11月30日の記者会見で、記者から「財務省として現在の国の負担割合を50%から36.5%に引き下げたいと厚労省に提案しているとのことだが、大臣のお考えをお伺いしたい」と切り込まれ、こう答えた。
3分の1から2分の1へと国庫負担するとなると、約2兆5,000億円必要ですが、残念ながらその財源確保は現時点では大変難しい状況でございますので、その状況を踏まえまして厚労省側に36.5%に引き下げることも含めて検討をお願いしているという状況です。
36.5%に引き下げるとなると、その分は2012年度以降、穴埋めしていかなければいけなくなる。それは消費税を含めて税制の抜本改革をやっていくことを意味する。その覚悟について聞かれると、
23年度以降は36.5%に引き下げるということの検討をお願いしながら、一方で税制の抜本改革を実現した暁には遡及して年金財政の方にお金を入れるということも含めてご相談をしているということです。
何とも心もとない。前政権が定めた税法の附則に従えば、この2分の1負担は来年度中に準備をして、2012年度から実施するということになっているが、この点に関して野田大臣は、苦しそうにこう述べる。
現行法上ではそういうことになっているので、そのことも当然念頭に入れながらの対応でして、それが出来ない時は21年度、22年度、臨時の財政措置、法制措置をとるということで財政投融資の特会を活用してきましたけれども、その積立金が枯渇している中で、それに変わるものが現状ではなかなか見つけにくいということがございまして、何を決めたという段階ではありませんが、厚労省と協議をし始めたということであります。
この基礎年金の国庫負担問題は、現在、財務省と厚生労働省の間で政務官クラスの協議をしているが、予算編成が大詰めを迎える中、その解決の時期と、財務省提案通りになるとすると、その2.5兆円をどう捻出するのかということが問題になってくる。その点を来年度予算案での71兆円の歳出枠との関連で記者から問われる、
とりあえず今、厚労省との協議をスタートさせたところでありますけれども、これは広く政府・党の中で問題意識を共有していることが必要なので、関係者ともさらに協議をしながら結論を出していきたい。この2.5兆円分というのは大変大きい額ですので、なるべく早い時期に合意形成が出来るように努めていきたいし、2.5兆円分というのは71兆円の枠にもともと入っていたものなので、それはどうするかというのは、まだこの2.5兆円が決まっていないですから何とも言えませんが、いずれにしても結論を早く得ることが最大のテーマだというふうに思っています。
何ともはや歯切れの悪い、分かりにくい言説だ。この問題に関して、細川厚生労働大臣はすでに2分の1を出来るだけ維持したいと言明しているので、両省の歩み寄りはそう簡単ではない。抜本改正の暁には、また戻すというが、実現するという見通しがない中では、財源の先食いと言われても止むを得ない。逆に仮に2分の1を堅持することになった場合の財源探しの責任というのは誰が負っていくのか。内政、外交で失点を重ね、支持率が急落している菅内閣にその手立てが出来るとは到底思えないのだが。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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