11月の「月例報告」、「生産」「雇用」「個人消費」「先行き」でマイナス評価

2010年11月21日 20:07

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

  内閣府が18日午後、11月度の「月例経済報告」を発表した。当初、19日(金)の発表予定であったものを、3日前に急遽前倒しして18日に発表すると告知していた。その理由は明らかにされていないが、一部ではさらに景気後退判断が出されるとの見方があったが、果たしてそうなった。「基調判断」は10月と変わらず次の通り。

  景気は、このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。先行きについては、当面は弱めの動きがみられるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート・株価の変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

  相変わらず、「景気が持ち直していくことが期待される」とか、「悪化懸念が以前残っていることにも注意が必要である」との文言が見受けられるが、これらの表現は冷静に経済実態を見極めるための「経済報告」の記述としては、「全く不要だ」との指摘もある。そして、前月との相違点を見てみるとこうなる。

<輸出>   10月・輸出は、このところ弱含んでいる。生産は、弱含んでいる。   11月・輸出は、このところ弱含んでいる。生産は、このところ減少している。

<雇用>   10月・雇用情勢は、依然として厳しいものの、ところ持ち直しの動きがみられる。   11月・雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。

<個人消費>   10月・個人消費は、持ち直している。   11月・個人消費は、持ち直しているものの、一部に弱い動きもみられる。

<先行き>   10月・先行きについては、当面は弱めの動きも見込まれるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。 11月・先行きについては、当面は弱めの動きがみられるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。

  ゴシックの部分が相違点だが、いずれも「マイナス評価」である。「このところ」という言葉が随所に見られるが、これは「最近」「近頃」という意味で、より一層状況が進んでいるということを表している。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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