妄想は幸福度を低下させる?

2010年11月14日 10:10

  headless 曰く、

 人は現在の行動とかかわりなく、いろいろなことを考えている。気分の乗らない作業をしている場合などには、過去の面白い出来事を思い出してみたり、お昼に何を食べようかと考えてみたり、起こるはずもないような出来事を想像したりして、なんとか乗り切ろうとする。ところが、ハーバード大学のマシューキリングワース氏が米科学誌サイエンスに発表した論文によると、妄想で気を紛らすことは心の幸福度を低下させるかもしれない(サイエンス電子版の記事Bloomberg日本版の記事)。

現在の行動と心の関係は、心理学的に興味深いテーマとしてこれまでにも調査されてきたが、キリングワース氏の調査では、多くの人が既に所有しているiPhoneを使用することで、多くの被験者からデータを収集することに成功した。被験者のうち2250人の成人についてみると、現在の行動と関係ないことを考えている時間が全体の47%を占めていた。この間の幸福度は、たとえポジティブな方向の考えをしている場合であっても、現在の行動に集中している場合と比べて低かったという。

調査の方法は、ボランティアとしてTrack Your Happinessに登録した被験者のiPhoneに1日数回メールを送信し、被験者がWebサイトにログオンしてアンケートに回答するというものだ。この方法であればiPhone以外の携帯電話でも参加できそうだが、アンケート画面の操作上の問題により、iPhone限定となったようだ。メールの送信頻度や時刻などは自由に選択できるとはいえ、被験者の反応はよく、実に83%もの割合で回答が得られたそうだ。被験者が周囲から「あの人携帯ばっかりいじって、ぜんぜん集中していないよね」と思われていなかったかどうか余計な心配をしてしまう。ちなみに、このタレコミをまとめている間の幸福度が低かったのはいうまでもない。

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