「水上から眺める東京」手軽なクルージングが人気

2010年11月1日 11:00

 「クルージング」と聞くと、「贅沢な遊び」というイメージを持ち、敷居が高く感じてしまう人も多いだろう。確かに、1隻何百から何千万もするボートは、誰もが容易に所有できるものではない。しかし、このボートを時間単位でレンタルできるとなれば話は別だ。ヤマハ発動機 <7272> の会員制マリンクラブ「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」の会員になれば、低料金で手軽にクラブ艇を借りることができるということで、今回、その一日体験ツアーに参加してみた。

 朝の9時30分に、勝どきマリーナ(東京都中央区)を出発した我々一行の船は、隅田川を颯爽と走り抜け、小名木川へと入る。この小名木川では、途中にいくつもの水門に遭遇し、ゲートの開閉の迫力や、短時間に水位が変わる瞬間を体験。まさしく、パナマ運河を連想させる光景を目の当たりにする。その後は、荒川から東京湾に入り、レインボーブリッジ、お台場海浜公園、浜離宮など、東京ベイエリアの観光スポットの景色を海の上から堪能した。

 午後になると、午前中とは一転し、隅田川から日本橋川、神田川へとゆっくり巡る。都内の中心を辿るこのルートは、古いものから新しいものまで大小いくつもの橋を下から臨むことができる。普段見慣れているはずの東京の街並も、いつもと違った角度からみると全く違った景色に見えてくるから不思議だ。最後は、再び隅田川に戻り、下町の風景や、新名所の東京スカイツリーを横目にしながら、マリーナへと戻った。海や川から、大都市「東京」を堪能する貴重な体験ができた一日となった。

 この体験ツアーを企画した「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」は、全国に14000人以上の会員を持つ会員制マリンクラブ。全国140ヵ所のホームマリーナをネットワークで結び、会員になればどこでもボートをレンタルすることができる。これなら、ボートがなくても、船舶免許さえあれば、いつでも手軽にクルージングが楽しめるというわけだ。現在では、船舶免許も10万円以下で、しかも短期間に取得できるようになったことから、順調に会員数を伸ばしているという。今回のクルーズをアテンドしてくれたヤマハ発動機マリン事業本部の村澤氏は、「一部の限られた人たちの贅沢な遊びというイメージがあるポートレジャーですが、シースタイルのレンタルシステムを通して、自らがボートを操縦して海へと出ていく面白さ、海の上で遊ぶ本当の楽しさを、一人でも多くの方と知っていただきたいです」と語った。

 最近では、その手軽さから、数名でボートを借りてクルージングを楽しむ人や、ボートを購入する前に練習するために会員になる人、また、訪れた旅先でクルージングを楽しむ人など、その目的も様々のようだ。さらに、会員になると、ボートだけではなく、マリンジェットもレンタルできるという。遊びを軸にした考えのもと、マリン事業を展開してきたヤマハ発動機が、ハード面だけではなくソフト面も充実させて、マリンスポーツに新しいスタイルをもたらせようとしている。
(編集担当:北尾準)

関連記事

最新記事