「不平等と貧困」をテーマにした2冊から連想=田北知見の銘柄ウオッチ

2010年10月29日 17:27

(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)

  白波瀬佐和子著『生き方の不平等』、門倉貴史 著『貧困ビジネス』を読んだ。前者は東京大学准教授の白波瀬氏の著書。生まれつき(家庭環境や性別)によって、あるいは就職時の好不況によって、あるいは高齢者になってから、本人の努力(の有無、多寡)や自己責任だけでない理由で不平等が生じている現状を、データ等によって浮き彫りにしている。そして、こうした不平等や格差を、社会的想像力などにより、「お互いさま」的な感性と制度で緩和する必要があるのではないだろうか、というような提言をしておられた。

  後者はエコノミストの門倉氏の著書で、データや取材などをもとに、ワーキングプア等の貧困者を搾取する貧困ビジネスについてレポート。その上で、「規制強化は貧困層を救うのか」を検討する内容や、「さらなる没落を招かない対策を」といった提言をしておられた。

  私も、昨今は経済環境の悪化などから、巷には自己責任論が強まっているように思う。確かに、努力をしない人が困窮するのは当然だ。また、若年層やニートなどの中の一部の人には、自分自身の努力不足を棚に上げて「社会が悪い、大人が悪い」「不況だから就職できない」と主張する向きも散見される。だが、本当に努力しているのに、上記のように社会的な理由のために困窮している人も、結構いるように思うのだ。

  上記から連想した銘柄。

★ベネッセホールディングス <9783> (東1)

  「不況なのに、いや不況だからこそ、教育関連の需要は増している」ということから、『進研ゼミ』などの事業を行なっている、ベネッセホールディングス <9783> (主市場 大1)を入れる。29日終値は85円高の3865円。単位100株。PERは約18.2倍、PBRは約2.2倍となっている。チャートは15日につけた年初来安値3625円からの反発局面。現在の3900円ラインはひとつのフシだが、中期チャートではまだ安値圏にあるように見える。3800円ラインの押し目を待って拾い、次のフシ4000円ラインを狙ってみる。

★ワタミ <7522> (東1)

  居酒屋『和民』事業などを展開するワタミ <7522> (東1)を入れる。リーズナブルな外食産業は不況を背景に堅調な需要があり、また、中長期で需要が見込まれる介護・農業の関連銘柄としても注目されている。29日終値は25円安の1470円。単位100株。PERは約20.8倍、PBRは約2.4倍となっている。本日は一時1468円まで売られ、前日28日につけた年初来安値1485円を更新した。底値圏の買い時と見る。信用倍率は約0.4倍の売り長になっており、今後、買い戻しが入ることも期待できそうだ。まずは次のフシであり13週移動平均線でもある、1600円ライン奪回を目指す。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)

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