会社更生法の武富士を巡るその裏事情とは?
2010年10月29日 16:03
【裁判所以外に威厳があり公正な判断をする場はない!】
■これは正義か?
10月24日、「武富士の過払い金ロンダリングは許されない」としてクレサラ弁護士が集会を開いたと報道されている。
弁護士・司法書士、被害者の会など同集会への参加者は、「武富士が『過払い金ロンダリング』で過払い金をカットし再生するのは許されない」と主張している。
この主張が、「過払い金の返還の最大化をめざすにはどうするか」という点に絞って論じているとすれば理解できよう。だが、同報道が「当面は手続の開始決定の阻止を目標とし、最終的には武富士破産を目指す方針を決めた。」と述べているところは理屈にあわない。
武富士は、会社更生法申請時の記者会見で「少しでも多くの過払い債権者に返還したい」と主張しているのだが、武富士を破産に追い込んでしまえば、少なからず返還されるであろう過払い金の目処も失うかたちになる。
同会の主張には「債権者の立場に立った問題解決」に主眼があるのか、いささか疑問を持たずにはいられない。
■過払い債権者への全件通知を求めていいのか?
10月20日付朝日新聞夕刊は、「窓・論説委員室から」コラムで「武富士からの手紙」という記事を掲載している。
同コラムは、武富士が債権者を確定する作業をする際に、同社に債権を持つ200万人ともいわれる債権者全員に通知をすべきかどうかを論点にした内容になっている。
「過払い金の存在に気づいてない人にその事実を伝えるべきか」それとも「無数の家庭内トラブルを引き起こしかねないのでやめるべきか」といった内容だ。
その中で、コラム担当記者は、後者の主張を推していた。それが当然であろう。
消費者金融を利用経験者中にはその事実を他人に知られたくない傾向が強い。まして、家族が秘密の内に借金をしていれば、それが止むを得ない事情であっても、それを知った家族は当人を責めるなど家庭内のトラブルを招きかねないことは容易に想像できる。実態として、この200万人の大半がもう借金を返し終えた「完済者」といわれるだけに尚更だろう。
いろいろ取りざたされクレ・サラ弁護士と呼ばれる弁護士たちの「理屈」では、相談窓口を個々に設け、武富士の過払い金の存在を知った債権者から同業他社での借り入れ情報も「仕入れ」、最後の過払いビジネスの集大成を遂げようと目論む見方もできる。なぜなら、武富士への過払い金を請求するのなら、武富士のコールセンターに電話で、債権の告知届出をすれば済む筈だ。
■裁判所しか公正な判断をする場はない。
どの事案であっても、裁判所は法に則って公正な判断をしている。裁判所に物を申すとすれば、基本的には裁判の場だけだ。
しかし、報道のように集会や記者会見をという手段をとるのは、世論醸成のもとで裁判所に圧力をかけるような「裏事情」が推測される。
裁判所は正義を実現するために公正な判断への努力を重ねてきた。武富士の会社更生についても、会社更生法に則り公正な判断を下すだろう。当然、裁判所は正義実現に向けて冷静に判断していくだろう。(金融ウォッチャー)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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