「尖閣諸島問題に見る日中ビジネスのリスクと日系企業が取るべきリスク対策」、徐向東氏・講演

2010年10月8日 05:03

 ブクブクと経済が沸騰する中国への進出を狙う日本企業は後を絶たない。しかし、実際進出してみたが現地での経営が思うようにいかず、志半ばで撤退する企業が多いのもまた事実。中国で成功する企業と失敗する企業の違いとは何なのだろうか。

 株式会社中国市場戦略研究所・代表取締役の徐向東氏は5日、「中国進出攻略 中国で成功する企業・失敗する企業」と題して、中国進出企業の事例から巨大市場開拓の成功法則について基調講演を行った。

●尖閣諸島論争に見る日中関係

 9月上旬に沖縄県・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件をめぐり、日本のマスコミは大々的に中国人が反日抗議を繰り広げる姿を取り上げ、世間を賑わせた。日本側ではこの問題を機に中国での日本製品の不買運動が起こるのではないかとの懸念も広がった。しかし、事実はそれとかなりずれていると徐氏は語る。

 「今の中国国内では日本製品はほとんど見かけることはない。地方ともなれば走っている車のほとんどが国内のローカルメーカーか、海外メーカーでは韓国のヒュンダイで、たまに日産を見かける程度。日本製品の不買運動が起こるどころか、日本製品自体が出回ってない」。これは驚きの事実である。

 また、9月末に米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長と投資家のバフェット氏が一緒に中国に訪問、同国の富裕層らと会合を開いたことが中国国内で話題となった。米国や韓国など海外の企業や投資家は成長する中国に積極的に足を踏み入れている。ところが、日本では一流の経済学者や企業が現地に赴いたという話はほとんど聞かないという。こうした動きからも、日本は根本的に中国に対する関心が他国に比べて薄いといえるだろう。

 「これには日本政府の責任も大きい。自民党政権時代と違って、経験の浅い民主党政権は外交政策が弱く、積極性が足りない」と同氏は述べる。旨みある市場であるはずの中国について我々日本人が無知であるという事実から、官民一体で取り組むべき課題が見えてくる。

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