ピンク・ネブラ vol.15
2010年10月5日 15:00
2010年2月19日@ボルダー
「NASAの予算がサブオービタル宇宙飛行に!」
昨年秋からちょこちょこと発表されていたクルーザー(CRuSR :Commercial Reusable Suborbital Research) プログラム。NASAがサブオービタル宇宙輸送機の飛行サービスを購入することにより宇宙科学や教育を振興するとともにサブオービタル宇宙輸送機開発会社を支援することを目的にスタートしました。 今年、お正月明け早々にはサブオービタル機に実験機器と一緒に搭乗するという“搭乗科学者”たちが選抜され、サブオービタル訓練を実施しているNASTARに新たに設けられた訓練コースに参加、その後、サブオービタル宇宙飛行を模擬したスターファイターズ社のF-104による飛行訓練もありました。
2月に開催された第一回次世代サブオービタル・リサーチャーズ・カンファレンス(第1回NSRC)で初めてクルーザープログラムに年間15Mドル、5年間で75Mドルがつくという予算も発表され、いよいよNASAがサブオービタルの利用に本腰を入れだした雰囲気に包まれました。ところで、ボルダーでのカンファレンス、第一回目にも関わらず、サブオービタル宇宙輸送機の利用需要が予想以上に感じられる300人という参加者の数でした。
2010年4月5日@フロリダ
「スペースシャトルの打ち上げ、初めてで見納め!」
山崎直子宇宙飛行士の1人のファンとしてスペースシャトルの打ち上げを初めて見に行きました。今回は早朝の打ち上げということで、夜、ケネディ宇宙センターのコーズウェイゲートに到着、打ち上げを見る場所にバスで移動するとスワロフスキーのクリスタルのようにきらきらと輝いている発射台のオレンジの光に抱かれているスペースシャトルがバナナリバーの向こう岸に現れ、もう、それだけで大感動。打ち上げ20分前を切ったところで、国際宇宙ステーションの光が現れ、ゆっくりと天空を移動し、これって、ハリウッドのショー以上の演出だな~と思いながら、しかもそのISSの光が月のすぐ上を通った時は、更に大感動。静かにカウントダウンが始まり、閃光が奔り、噴煙が沸き起こり、ちょっと遅れてドドドッ、ズズズッという鈍い振動が体の内部に届くような轟音。スペースシャトルが飛び立った後の煙は夜明けの光が反射したような色に変わり、いつまでも漂っていました。みごとな打ち上げを見ることができた幸福感を感じながら山崎宇宙飛行士のご活躍を祈りました。
30年も続いたスペースシャトル時代。山崎宇宙飛行士は日本人でスペースシャトルに乗った最後の宇宙飛行士であり、スペースシャトルはあと3回の飛行の後、今年退役します。現在、ケネディ宇宙センターやスペースフロリダではスペースシャトル後の宇宙産業の誘致や雇用の確保、再トレーニングなど大変な変革期にあります。新たな時代が始まる前兆も確実に感じられました。
2010年4月14日@コロラドスプリングス
「中国の宇宙ステーション計画」
4月14日、第26回ナショナルスペースシンポジウムで中国有人宇宙技術局(CMSEO)のトップが2022年までに中国独自の宇宙ステーションを完成する計画を公表しました。2011年前半に居住・実験モジュール「天宮1号」を打ち上げ、2011年後半に無人の神舟8号と、2012年には神舟9号、10号により有人でランデブ・ドッキングを行います。2014年から2016年にかけて、「天宮2号」と「天宮3号」を打ち上げ、生命維持技術や物資補給技術を確立。2016年から2022年にかけて30トンの3つの与圧モジュールで構成される宇宙ステーションを建設、3人の宇宙飛行士が長期滞在するというものです。宇宙ステーションは高度340km~450km、軌道傾斜42~43度に建設、寿命は10年。神舟の寿命は3年。その後のインタビューでは、NASAや他国の宇宙機関と有人宇宙飛行や貨物船を含む協力の可能性というお話もありました。中国の勢い、止まらない!
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