車イスも自分らしさ重視の時代へ
2010年9月29日 11:00
日本国内における車イスの年間出荷台数は約40万台とも言われており、高齢化が進むなかで、今後さらに需要が拡大していくことが予想されている。年々、電動化や軽量化など進化を遂げている車イスだが、最近では、機能性に加え、色やデザインなどファッション性にもこだわったものが増えてきているという。
1990年代初めより電動車イスの開発・販売を行ってきたヤマハ発動機 <7272> では、車イスの車輪部分に取り付けるスポークカバーを2001年より発売している。発売当初は、指や衣服などの巻き込みを防止するため商品として販売していたが、円形のカバーの表面に描かれた恐竜やオートバイなどをモチーフにしたデザインが話題を呼び、その後は様々なデザインを追加していった。現在では、ディズニーキャラクターシリーズなども加わり、全部で19種類もラインナップ。売れ行きは好調のようだ。
カラフルでユニークなデザインに加え、簡単に取り外しができることから、気分やシーンによって、まるで洋服を着替えるように気軽にカバーを替えることができることが、利用者に評価されているところ。実際にこのスポークカバーを利用している人からは、「気分が明るくなった」「外出するのが楽しくなった」という声も多く聞かれるという。
開発当初から、実際の利用する人の視点に立った車イス作りを目指してきた同社は、何度も利用者本人に意見を聞きながら、新しい車イスの開発を進めてきた。その中から見えてきたのは、「少しでも自分らしくありたい」という利用者の心理だったという。そこにヤマハ発動機ならではの遊びの発想が加わり、車イス自体のイメージを変え、乗る人の気分も明るくさせる、スポークカバーという新たなトレンドを作り上げた。
尚、このヤマハ発動機のスポークカバーの一部は、9月29日から10月1日まで東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される「第37回国際福祉機器展H.C.R.2010」にて、同社の軽量型電動車イスや車イス電動ユニットなどと一緒に出展される予定だ。